研究課題
ポリエチレンジオキシチオフェンにp-トルエンスルホン酸をドープした導電性高分子(PEDOT-pTS)をコートして作成した繊維状電極について、電位測定および通電刺激における適用可能性を検討した。種々の糸(直径100~400μm)にPEDOT-pTSをコートして作成した電極は、2~20 kΩ/cm程度の抵抗を示した。反応液に多価アルコールを加えることにより、抵抗をさらに半分程度まで下げることが可能になった。この電極は従来のPEDOT-PSSでコートした電極に比べると抵抗が低いものの、通電刺激に使用するには抵抗が高いと考えられた。電極の体積抵抗率は2~6 Ωcm程度で、PEDOT-pTS単体の抵抗率より3桁程度高いことから、基材への導電性高分子のコーティングの改善によりさらなる抵抗の低減が可能になる可能性が考えられた。またマウスの瞬目反射学習についての解析を進めた。昨年度までに、音を条件刺激、瞼への空気の吹き付けを無条件刺激として用いる遅延課題の条件付けを確立した。さらにペリニューロンネットを分解するchondroitinase ABC(ChABC)を小脳深部核に注入すると、学習が促進されることがわかった。そのメカニズムを解明するため、小脳の急性スライスを用いて電気生理学的解析を行った。その結果、ChABC処理を行うと小脳深部核ニューロンにおける抑制性シナプス電流が増強され、これはシナプス前終末からのGABAの放出の増強によることが示唆された。ペリニューロンネットは小脳深部核における抑制性シナプス伝達を調節していると考えられ、ChABCは脳機能の障害からの回復に用いることができる可能性がある。
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Journal of Neuroscience Methods
巻: 291 ページ: 51-60
10.1016/j.jneumeth.2017.08.006