ハイパーサーミアは癌細胞の熱感受性を利用した治療法で,手術不能の進行癌患者に対するQOL向上に適している.我々は,43℃のキュリー点を持つ感温性磁性体(FILCT)を患部に注射し,体外から高周波磁場を印加することで腫瘍部だけを加温する低侵襲温熱療法を研究している.本研究では,FILCTを注射した患部が治療可能温度に到達したか否かを体外からワイヤレスで検知する深部温度計測法の要素技術を構築した.物理実験により,生体を間に挟んでドライブコイルとピックアップコイルを対向させた配置で,ドライブコイルから10.0cm(ピックアップコイルから5.0cm)の距離のFILCTを検知できることを明らかにした.
|