我々はこれまで、フッ素MR画像法によるアルツハイマー病の診断試薬の開発に取り組み、Shiga-XおよびShiga-Y化合物を開発し、アルツハイマー病の遺伝子改変モデルマウスを用いて老人班のMR画像化に成功した。その過程で、色々な脳内異常蛋白をフッ素MR画像法で画像化するための基本的構造(ユニバーサル試薬)を見いだすとともに、複数の試薬の同時投与による二重MR画像法に成功した。本研究では、これまでの成果を拡大し、神経原線維変化、レビー小体、TDP-43凝集体に特異的に結合し、強いフッ素NMR信号を出す試薬を開発することである。 H28年度までに、神経原線維変化に特定的に結合する化合物SHiga-X35を開発した。合成した化合物を化合物(SX35)を麻酔下のタウ遺伝子改変マウス(rTg4510マウス)と野生型マウスに、尾静脈から投与し、7テスラMRI装置(Agilent)を用いてマウス頭部のMRIを測定した。フッ素MRI画像を比較すると、野生型マウス(Wild-type)では。、ほとんど信号は検出されなかった。rTg4510マウスでは野生型マウスに比べて頭部に強いMR信号が検出された。 しかしながら、ヒトのタウ病変は多様性があって、疾患によって異なるサブタイプが出現する。そこで、平成29年8月、ヒト脳試料を用いた結合実験の結果、タウ結合イメージング試薬として開発した化合物が当初の予想に反してアミロイド凝集体にも結合し、特異性に問題があることがわかった。タウ結合イメージング試薬としての特異性を上げる必要があるため、基本骨格を見直してShiga-T13を新規合成した。この見直しに数ヶ月要したため、平成29年度に予定していたタウモデルマスの実験を平成30年度に実施することとなり、延長申請を行った。
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