研究課題/領域番号 |
15K01288
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山根 隆志 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10358278)
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研究分担者 |
道脇 昭 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (20727383)
丸山 修 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, その他 (30358064)
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 補助人工心臓 / 軸流ポンプ / 溶血特性 / 抗血栓性 |
研究実績の概要 |
わが国現状では、移植相当と診断された成人には植込み型補助人工心臓が臨床使用可能となっているが、移植相当ではない心不全患者が数万人おり、経済性の高い部分循環補助人工心臓(Partial Assist)がいずれ必要となると考えられる。補助血流量が2L/min以下の患者を想定した補助人工心臓を開発目標とするが、それは小児用の仕様とも同じであるため、小児用ポンプとして早期に市場投入することもできる。 従来、円筒ブロックに4本の溝を掘った形状のインペラを使用していたが、本研究では翼型を採用した4枚羽根のインペラと、5枚羽根の静翼を有するモデルKAP5をまず試作した。ケーシングには袋ナットを使用し、組立・分解が容易な構造にした。KAP5からKAP6への変更点は、KAP5のインペラ流出角が90°、KAP6のそれが70°となっていることである。この出口角度の変更により迎え角を小さくして旋回失速を抑制し、低流量での圧力特性を改良することができた。 溶血特性については、高回転数(10000rpm)では市販体外循環ポンプ(圧力200mmHg)の溶血率に対し、KAP5では5.4倍、KAP6では6.4倍とあまり改善が見られなかった。しかし、KAP6において低回転数(5000rpm)では、市販体外循環ポンプの半分以下という大幅な溶血率の減少が確認でき、臨床使用範囲を限定すれば溶血率を低減できる可能性が明らかになった。さらに、麻酔下ブタを使用した短時間(90分、1L/min)の抗血栓性試験では、血栓は見られず良好な結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軸流血液ポンプの設計・改良設計、流体力学性能の改良、溶血特性の改良まで研究は順調に進んだ。動物を用いた抗血栓性試験では短時間ながら良好な結果が得られたが、再現性はまだ確認していない。科研費会議を2015年11月20日東京で開催し溶血特性改良までの討論を行ったほか、2015年12月03日神戸で開催し抗血栓性試験の計画について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
動物を用いた抗血栓性試験では良好な結果が確認されたが再現性はまだないため、次年度に模擬血栓試験で再現性を確認する必要がある。来年度目標として血液適合性および耐久性について、動物実験3ヶ月に耐える軸流ポンプモデルを確立する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の動物実験は他機関との連携で実施したため経費節約できたが、来年度は自機関で負担する必要があるため次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
短期動物実験は神戸近郊で実施する予定であるが、長期動物実験は分担機関と相談して、仙台で実施できるよう、試作品の追加、輸送および出張を計画する。
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