研究課題
本研究では、無線化された脳内埋植センサデバイスを試作し、脳内神経活動の長期観察を可能とする生体モニタリングシステムの実現を目指している。昨年度までに、試作した小型イメージセンサを改良し、暗電流を低減することによって雑音を低減した。また、本センサは一般的なイメージセンサと同様にフォトダイオードの蓄積電荷を増幅回路によって読み出すクティブピクセル方式を基本としているが、出力をパルス幅変調する。パルス幅変調は単純な回路構成で実現されるため、生体埋植デバイスに必要とされる小型な寸法を実現しつつ、強度ゆらぎの影響を受けやすい無線伝送時の安定的な信号伝送を可能とする。昨年まで用いていた生体内通信では、伝達可能な周波数帯が狭いため、無線伝送には光通信方式を用いた。観察に用いる波長は可視光波長帯とし、信号伝送に用いる波長はSiイメージセンサでは感度のない1300nm帯の近赤外光とすることで、伝送信号の画像への影響を回避した。また,電力の入力端子に、複数センサを順次駆動する制御信号を重畳させ、2配線入力でID管理による複数センサの同時制御システムを構築した。これにより複数のセンサを埋植した際の配線による制限を低減することが可能となった。試作したセンサデバイスをマウス脳内に埋植し、複数のイメージセンサの画像を順次伝送する実験を行った。本実験では、2本の共通配線入力に対し、4つのセンサと対応するLEDドライバを順次切り替え、信号を出力するデバイスを用いた。マウス脳の撮像を行い、複数のセンサからそれぞれ異なる血管像の光無線通信によって脳血管像を画像伝送を行うことに成功した。血管を流れる血量や血管幅は脳活性によって変化するため、この結果は本デバイスが脳機能情報の取得に利用できることを示唆している。
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