歩行者事故における外傷性脳傷害(以下,TBIと表記)は重要な社会的課題である.そこで我々は 1)力学実験 ならびに 2)数値解析 を通して歩行者TBIの受傷メカニズム解明に取り組んだ. 1)脊髄神経根から単離した線維束を試料として単軸引張試験を行い,神経線維束の破断ひずみは15%であることを明らかにした. 2)有限要素モデルを用いて様々な車両対歩行者の衝突シミュレーションを行い,25~40 km/h の速度域におけるSUVとの衝突はセダンとの衝突よりもTBIを受傷する危険性が有意に高く,特に車両との一次衝突よりも地面との二次衝突によってTBIを受傷する危険性が高いことを見出した.
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