1.改良型エンドボタンを用いた縫合糸の繰り返し負荷後の引張強度。改良エンドボタンおよび従来型エンドボタンに非吸収糸を結び、予荷重(0-50N)×10回繰り返した後、本荷重(0-250N)×500回又は1000回繰り返し、引張試験を実施した。各繰返し負荷後の荷重-変位挙動では、改良型および従来型とも負荷初期の挙動はほぼ同程度の剛性を持つことが確認された。最大荷重は500回の場合、改良型および従来型はほぼ同等であるのに対し、1000回では改良型が良好であることが判明した。したがって、再建靭帯の固定に使用されるエンドボタンとしては、改良型の方が縫合時の糸の緊張が適切に保たれた状態で固定でき、固定力も強固であるため、臨床使用するに値すると考えられた。 2.経大腿骨法によるAll-inside前十字靭帯再建術の術式の確立と臨床応用。これまでに我々は経脛骨法によるAll-inside前十字靭帯再建術を施行してきた。しかし、一般には経脛骨法は大腿骨の骨孔位置が不正確になりやすいとされている。そこで、まず、大腿骨の骨孔位置に骨孔作製ガイドを設置する経大腿骨ルートを使用したall-insideでの骨孔を作製する方法を考案し、新骨孔作製ガイドを製作し、愛媛大学の臨床研究倫理審査委員会の承認を受けたのちに、臨床使用を行った。その結果、大腿骨・脛骨ともに骨孔位置は解剖学的な位置に近似しており、脛骨ルート作製による骨損傷はさらに軽減され、有用であることが確認され、学会にて発表および論文作成を行う予定としている。 3.タッチパネル操作による関節鏡下手術ロボットの開発。関節鏡下前十字靭帯再建術は、術者の技量に術後成績が大きく左右される。そこで、関節鏡下手術の省力化と高精度かつ簡便性の向上のために先端部が軟性でタッチパネル操作により鏡視部位を自在に変えることができる関節鏡を考案し、器具の製作に着手している。
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