研究課題
本研究は、生体吸収材料により作製したチューブ構造上で、ヒトの胆管上皮細胞や血管内皮細胞等を培養し、それらのチューブを組み合わせることで、それ自体が組織修復や抗炎症機能を有する機能性ハイブリッド人工胆管を作製し、肝臓疾患や胆道疾患に対する胆管手術後に発生する胆管吻合部狭窄の予防を図るものである。長崎大学病院における肝切除例のうち、事前にインフォームド・コンセントを取得した患者の胆嚢・肝臓を用い、同組織からの胆管上皮細胞の分離培養手技の確立を目指し、実験を行った。またマウスの胆管上皮細胞の分離・培養を行っており、現在、同細胞と線維芽細胞による3D培養技術の確立を目指して培養条件の設定等を行っている。ヒト、マウス共に、胆管上皮細胞と血管内皮細胞をどのような比率で共培養するのか、また線維芽細胞とどのように組み合わせるのか、細胞数、培養条件の確立を目指し、実験を行っている。管腔様構造の構築に向けては、当初の計画通り、生体吸収材料を用いて、胆管の形態をシミュレーションしたチューブ構造物の作成を進めている。今後、同チューブを用いた3D培養へと進めていく予定である。またチューブ状の生体吸収材料を用いる方法に加えて、各種細胞をスカフォルドとして培養できるように条件設定を行っている。それらのスカフォルドを管腔構造となるように配置し灌流培養することによる3D構造構築の為の技術についても検討しているところである。
3: やや遅れている
胆管上皮細胞の分離・培養技術の確立に時間を要した他、次のステップとしての3D培養技術の確立に時間を要している。
胆管上皮細胞の分離培養技術は、確立されたので、胆管上皮細胞と線維芽細胞の両者による管腔構造の作成に向けて、実験を進める。
手技が確立しておらず、実際の人工胆管構築の為に使用する予算を使用するに至らなかった。
胆管上皮細胞の培養、そして3D構造構築手技が確立してきており、同実験に対する予算の使用を行う予定である。また成果発表の為の旅費への使用も行う予定である。
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Scientific report
巻: 26 ページ: 26540
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Liver Transplantation
巻: 22 ページ: 1401-1407
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