研究課題
本研究において懸案であった、エコーシフト・スピンエコーシーケンス法のシーケンスを1.5Tならびに3Tの臨床機において整備でき、体内埋込み金属がある場合についての金属物近傍のアーチファクトに関する解析ならびにT1による温度計測の詳細を検討した。まずエコーシフト・スピンエコーに関しては当初予定の通り、スピンエコー中心のタイミングから読み出し勾配磁場の中心をΔTEずらせる形で、信号取得を行なった。ASTM2182に示された発熱評価と同一仕様のポリアクリルゲルを満たしたファントムを対象とした。得られた画像を、ΔTEと同程度のエコー時間(TE)による勾配磁場エコーと比較したところ、金属アーチファクトの程度は同程度であった。これは昨年度の昨年度の理論的な検討結果を裏付けるものであった。続いてスピン格子緩和時間T1の各測定手法を検討した。昨年度の検討においてマルチフリップアングル法による温度誤差が大きかったが、この主な原因が励起磁場の不均一性によるであることが判明したため、励起磁場の不均一性を補正する方法を検討した。1つ目のフリップ角に対して2つ目をその倍にとることによって実効的なフリップ角を求める方法、ならびにフリップ角の補正係数を数値的に求める方法を検討し、後者の方法によってフリップ角を補正することによって温度分布が求めらえることを局所加温実験によって検証した。さらに反転回復法を高速に実行する方法としてModified Look-Locker法を整備して使用した。この方法では読出しに勾配磁場エコー法を使う場合よりもアーチファクトが小さく、T1を用いた温度計測において有効であることがわかった。以上のように、最終年度において撮像法の検討を進めることができた。現在ここまでに得られた様々な検討をまとめて論文化すべく、データの解析をさらに進めている。
すべて 2017
すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)