研究課題/領域番号 |
15K01309
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
中野 厚史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (90217787)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 酸化LDL / 褐色脂肪 / 骨格筋 / nanoSPECT / 運動負荷 |
研究実績の概要 |
循環器疾患の憎悪因子とされる酸化LDLの個体レベルでの代謝を改めて詳細に検討するために、LDL及oxLDLの123I標識体を作製しマウスに尾静脈投与し、小動物用高解像度イメージング装置(nanoSPECT/CT)を用いてマウス全身を撮像し、主要臓器及び高集積部位に3次元VOIを設定して集積量および集積密度の評価を行った。更にに撮像後臓器及び組織を摘出し、重量計測を行った後に、ガンマカウンターを用いて放射能集積量および密度の評価、また高集積部位での組織化学的評価を行った。 nanoSPECT/CTを用いた撮影した、123I-LDL及123I-oxLDLを投与10分後のマウス全身像を観察すると、共にともに肝臓、脾臓への集積が認められた。また、123I-oxLDLにのみ、胸部及び頸部から肩部への集積が認められた。胸部は位置、形状より心臓、肺でと判断できた。nanoSPECT/CTによりイメージ化された頸部と肩部の特徴的形状の集積は形態的には褐色脂肪であると考えられた。その検証のためにUCP1の免疫染色を行い褐色脂肪であることを確認した。 褐色脂肪の活性によりoxLDLの取込変化を確認するために寒冷刺激を行ったところ、集積は増加した。このことより褐色脂肪へのoxLDLの集積に交感神経の寄与が示唆されると考え、123I-oxLDL投与時にイソフルラン麻酔を行い、交感神経を抑制した結果、本集積は消失した。さらに、イソフルラン麻酔の前にβ3アゴニストを投与することで集積が保持された。組織摘出法での評価により、褐色脂肪単位重量あたりの放射能集積密度は肝臓に匹敵したが、総集積量は肝臓の1/5以下であった。 oxLDL代謝における褐色脂肪の関与は、明らかになったものの、全身臓器分布からみると上記以外の組織も大きく寄与している可能性を示唆しており今後その影響を明らかにしていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LDLおよび酸化LDLの123I標識体の合成方法、nanoSPECT/CTによるマウス全身イメージング、全身の臓器を摘出した臓器分布の評価などの手技的な問題点は解決している。 また、概要に記載したように褐色脂肪の関与および刺激に伴う取込の変化も明らかになった
しかし、KOマウスの繁殖が計画より遅れており、それを用いた実験が十分には遂行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
すでに、イメージング技術については可能になっているため、KOマウスを用いた実験により介在する分子を明らかにしていく予定である。 また、褐色脂肪に集積したoxLDLがどのように代謝されるについても研究していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
KOマウスの繁殖が想定より少なかったため、その飼料費などとして計上していた費用が年度内には使用しなかったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
KOマウスについては、年度内に可能な限り実験数を増加させる。
SPECT画像解析用ソフトウェアのバージョンアップ費用及び実行用コンピュータの更新を行いSPECTデータの解析をさらに進める。
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