研究課題
動脈などの組織にレーザー照射することにより、組織接合が可能なことが近年明らかにされてきたが、そのメカニズムと至適条件および器具は不明のままであった。コラーゲン接合のメカニズムは可逆性の加熱(42-52℃)によって密に絡み合っているコラーゲン繊維が弛緩、膨化する現象が見られ、お互いに弛緩、膨化したコラーゲン組織に一定の圧を加えることによって、コラーゲン繊維同志の嵌合(嵌め合い)が起こって組織が接合されることを発見し、強固な嵌合を完成させるための至適条件は加熱温度、加圧力、接触面積そして、嵌合状態での再冷却であることを実証した。方法)実験1:動脈およびバイオマテリアルコラーゲンを4と42℃の保存液で48時間固定した。実験2:動脈の1/2周を全層切開したウシ頸動脈に①10x10x0.3mmの未架橋バイオマテリアルコラーゲンシートで切開部を中心に被覆した後にテフロンシートで圧巻する。②半導体レーザーでコラーゲン被覆部を4秒間(40-52℃)照射する。A群: ①コラーゲンシート被覆+②レーザー照射群、B群:①のみ、C群:②のみの3群とした。評価は、光学および電子顕微鏡でコラーゲン形状を観察し、実験2では耐圧テストも行なった。。結果)実験1:4℃ではコラーゲン線維の束は隙間なくき締まった状態であったのに対し45℃では束の弛緩と膨化が観察された。実験2:切開部の耐圧能はA群:303.6±55.2、B群:50.8±33.0、C群: 49.0±11.8(mmHg)で、A群で有意に(p<0.0001)高かった。A群光顕、電顕で2種類のコラーゲン線維がが絡み合う様子が観察出来た。考察)3本螺旋構造を基礎とするナノサイズのコラーゲン細線維の束は低温加熱によって弛緩し膨化する。弛緩し膨化したコラーゲンを重ねて圧迫することによって嵌合が生じると考えられた。
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Lasers Surg Med.
巻: 49(5) ページ: 533-538
10.1002/lsm.22621