研究課題
3年間の研究期間の最終年にあたる平成29年度は、昨年度までに得られた抗HIVペプチド:Enfuvirtideのゲル製剤に関する成果をまとめ、専門誌上への外部公表を重要視した。当該事業において見出した人工エラスチンのうち、疎水性度の異なる分子量約60kDaのモノマーユニットからなる人工エラスチンゲル2種に焦点をあて、Enfuvirtideを物理的に封入したゲル製剤の機能をin vitroおよびin vivoの両側面から解析した内容として、生体材料学の専門誌:Acta Biomaterialia誌(英国)に情報発信した。抗HIVペプチドのデポ製剤化に挑戦した数少ない研究例として注目され、邦文誌からの総説執筆依頼を受け、「ペプチド医薬品のスクリーニング・安定化・製剤化技術(技術情報協会)」を通しても当該事業の成果発表を行った。人工エラスチンの物性パラメータのうち、未着手であったゲル架橋点数を規定するシステイン残基数から人工エラスチンの物性・機能の解析を行った。(1)分子内よりも優位に分子間ジスルフィド結合形成を形成させ、結果としてゲル網目数の制御によりゲル内に貯留する薬物サイズの最適化が図れること、さらには(2)粘弾性をチューニングできること、の2点に関して新たな発見があった。これらにより、当該事業計画に明記して目指していた「送達する薬物に適した人工エラスチンの分子設計」を実現できる可能性が大きく広がった。各種の抗HIVペプチドの活性阻害メカニズムおよび感染段階に応じて必要とされる薬物用量を考慮したデポ剤設計の探究意義が実験的に裏付けられたことは、創剤上きわめて重要である。
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