研究実績の概要 |
高品質なヒトES/iPS細胞由来肝細胞を得ることを目標とし、高効率な内胚様分化誘導法の開発を目的とする。そのために、ヒトES/iPS細胞から内胚様分化におけるECM成分と増殖因子の細胞内シグナルの相互作用を解明し、有効なECM成分を同定し、さらに同成分を修飾した新規足場材料構築し、内胚様分化効率を向上させる研究を開始した。初期分化段階である内胚様分化効率を向上できれば、肝細胞への分化効率を飛躍的に向上することができ、ヒトiPS細胞由来肝細胞分化における課題が解決できる。結果として、毒性評価、薬効評価、再生医療への産業応用を促進することができる。平成27年度は、まず、各細胞株の分化嗜好性を確認した。各hPSC細胞にアクチビンAならびにFGF-2を添加して培養を行ったところ、Tic細胞は、201B細胞に比べて高いFoxa2陽性率を示した。また、肝細胞へ分化誘導したところ、Tic細胞の培養上清にはアルブミン分泌が確認されたが、201B7細胞はほとんどアルブミン分泌が認められなかった。そこで、内胚葉由来組織への分化能の高いhPSCsを選択するための評価法の開発を試みた。また、無血清培地hESF9を用いて内胚葉分化における各種ECM・増殖因子を探索し、ECM成分である フィブロネクチン(FN)、ラミニン(LA)、コラーゲン(Col)Ⅰ,Ⅲ,Ⅳや増殖因子:FGF2、activin A、BMP4、Wnt3aなどを添加して、未分化マーカー、各三胚葉初期分化マーカーの発現を解析した。その結果、未分化状態で肝細胞分化嗜好性と関連性のある遺伝子群が確認できた。また、ECMの中には、分化シグナルの伝達性を修飾するものがあることが明らかとなった。
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