研究課題/領域番号 |
15K01323
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
竹内 文也 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30281835)
|
研究分担者 |
高橋 寿明 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (20363228)
北間 正崇 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50285516)
鎌田 恭輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80372374)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 光線力学的診断 / 脳腫瘍 / アミノレブリン酸 / 蛍光画像 / 可視化 / 手術支援 |
研究実績の概要 |
平成29年度では、平成28年度で終了できなかった(1)蓄積したデータと基礎的検討を元にした機械学習によるカテゴリ判別と、(2)脳腫瘍組織からの蛍光の情報を術者に提示する方法の検討とシステムへの組み込みを行う予定であった。しかし、(1)を進めることができなかった。 その原因は、平成28年度でシステムに組み込んだ機能のうち、先述した(1)遂行中に得られた結果を用いて、データ記録などで生じる手術者負担を軽減する機能の評価が下がった(想定通りには働かなかった)ことにある。この対策を優先したため、(1)を進めることができなかった。平成29年度の成果は以下の通りである。 1.平成28年度でシステムに組み込んだ機能の不全の原因が、蛍光しない部位の画質が低下し術野における蛍光部位の位置が分かりづらくなったことにあることを特定し、対策を行った。平成30年5月に対策技術に関連した特許を出願できることとなった。 2.平成28年度では光線力学診断用剤(アミノレブリン酸塩酸塩)を投与して行った手術のうち、25例で手術中の動画が記録できた。 3.平成28年度では、「機械学習のための指標の一つである分光器の出力と、画像ピクセル値とが高い相関にあることを確認することができた。」という成果が得られたが、その一方で少数ではあるが、分光器の出力が小さく、画像ピクセル値が大きい場合がある。その原因として、これまで注目していなかった緑色の成分が関与している可能性を見いだした。機械学習に取り込むことで、精度の向上が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度で予定していた、(1)システム構築と(2)機械学習によるカテゴリ判別のうち、(2)については終了しなかった。一方、平成29年度に予定していた蛍光情報の提示方法に関する検討とシステムへの組み込みの一部を実施した。(2)が終了しなかったのは、平成29年度に予定していた研究の一部を前倒ししたためである。これにより、術中の作業負担は軽減している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、平成28年度で終了できなかった、蓄積したデータと基礎的検討を元にした機械学習によるカテゴリ判別を行う予定である。さらに、脳腫瘍組織からの蛍光の情報を術者に提示する方法を「本格的に」検討し、システムに組み込む。これにより、記録から情報提示までが一体のシステムとして稼働可能になる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成28年度においても次年度使用額が生じた。原因は同様であり、旅費と人件費・謝金の支出が予定よりも少なかったためである。旅費については平成30年度において使用する予定である。人件費・謝金は、主にデータ解析の補助の費用として見込んでいたが、研究進行に変更があったため実施できなくなった。 (使用計画) 旅費については、昨年度の成果を含め、主に研究発表のために使用する予定である。また、予定していたデータ処理を行うことで人件費・謝金については順次使用する予定である。ただし、人件費・謝金は、主にデータ解析の補助の費用として見込んでいたが、ソフトウェアによる自動化により、当初想定したよりも短時間で済む可能性がある。その一方で、ソフトウェアの使用料金の負担が加わった。一部はその費用として流用することになる。
|