研究課題/領域番号 |
15K01324
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 梨香 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術一般職員 (80722173)
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研究分担者 |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
木野 彩子 東北大学, 医工学研究科, 産学官連携研究員 (30536082)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 低レベルレーザ / 医用システム |
研究実績の概要 |
本研究は経穴に低レベルレーザ光刺激を与えた際の皮膚インピーダンスの挙動を観察するためのシステムの開発,及びそれを用いてレーザ光刺激高価の定量評価が可能かどうか検証を行うことを目的とする. 初年度では広域のインピーダンスマッピング測定に対応した広域マトリクス型電極の作製を行い,多点同時高速測定システムの開発を行った.まず,マトリクス型電極作製において何種類かの径が違う電極を用いて皮膚インピーダンスの測定を行い,経穴が特定可能かどうかインピーダンス観測を行った.対象となる経穴は発汗の影響をあまり受けない内関とした.皮膚インピーダンスを測定するため,多チャンネルで測定可能な電圧電流変換器および生体信号測定回路の製作を行った. この回路を用いて測定を行う.また,使用する電極はなるべく小径の物が良いとされるが,小径過ぎると電極自体のインピーダンスが測定に影響を及ぼす場合がある.そのため,電極の直径を選定するために直径10 mm, 5 mm,2 mmの電極をそれぞれ3×3のマトリクス状に配置し,皮膚インピーダンス測定を行った.結果,直径10 mm, 5 mmの電極を用いた場合,経穴の特徴である他の皮膚よりも低インピーダンスであることが観測された. 2 mmの場合においては電極自体のインピーダンスが大きいため観測することが困難であることから,本研究では電極直径5 mmのマトリクス型電極を用いて計測を行うこととした. 更に広域で皮膚インピーダンスの測定を行うために25 チャンネルのマトリクス型電極の製作に成功した.この電極を用いてデータ取得のためプログラムの作成を行った.インピーダンスの評価方法として,cole-cole円孤則による評価を行い,虚部が最大となる値をマトリクス状に配置した各チャンネルから取得し,マッピング処理をすることでどの位置に経穴が位置するのかが明確にすることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年の計画として,皮膚インピーダンス多点同時高速測定システム及び皮膚インピーダンス測定用電極製作を予定していた. 多点同時高速測定システムについて自作で25チャンネル分の電圧・電流変換器および生体信号用測定回路の製作を行った.装置の動作を確認するために,模擬皮膚インピーダンスを用いて測定を行い装置の有効性を検証する.その結果,理論値と実測値が誤差率10パーセント未満であることから装置の有効性を確認出来た.また,多チャンネルで測定を行うために銀-塩化銀電極を用いてマトリクス型電極の作製も行った.電極には日本光電社製の電極を用いて,直径5 mmの電極に加工を行う.それらを非導電性の透明マットにマトリクス状に配置し,これを多点同時計測用電極として腕に巻きつけて計測を行うこととした. これらを用いて皮膚インピーダンスを測定した結果,経穴の特徴である他の皮膚よりもインピーダンスが小さくなることを確認することが出来たため,順調に研究を進めることが出来ていると判断することが出来る.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進として,低レベルレーザ照射刺激による治療効果の評価を行う.そのために,バンドル型の光ファイバの製作を行い,より経穴の位置に局所的光照射を行うようなシステム開発を行う.前年度に作製したマトリクス型電極を経穴周辺に配置し経穴位置を推定したのちに光照射による刺激を行い,マッピングされたインピーダンスパラメータの変化の挙動を観察する.光照射には光ファイバに結合されたレーザダイオードを利用し,波長は一般的に用いられている皮膚表面に強く吸収される600nm-730 nmの赤外光を用いる.なお,利用する光電力は通常のLLLTと同じく30-80mW程度とする.研究協力者(鍼灸師)にアドバイスを受けながらレーザの出力波長が挙動変化に与える影響を確認する.
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