研究課題/領域番号 |
15K01324
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 梨香 東北大学, 工学研究科, 技術一般職員 (80722173)
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研究分担者 |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
木野 彩子 東北大学, 医工学研究科, 研究支援者 (30536082)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 低レベルレーザ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,経穴へのレーザ刺激にともなう皮膚インピーダンスの挙動を高精度かつ短時間に測定可能なシステムの実現を目指し,平成28年度の計画として,レーザ刺激による経穴周辺の皮膚インピーダンスの挙動観察を行う事である.インピーダンス挙動を観測するために,マトリクス状に配置された電極を経穴周辺に配置し経穴位置を推定したのち光照射による刺激を行い,マッピングされたインピーダンスパラメータの変化の挙動を観察する.光照射には光ファイバに結合されたレーザダイオードを利用し,波長は一般的に用いられている皮膚表面に強く吸収される630-700 nmの赤色光と,生体組織への深達度が大きい780-830 nmの近赤外光とする.なお,利用する光電力は通常のLLLTと同じく30-80 mW程度とした.実際にレーザ照射時における経穴の挙動を観測したところ,経穴にレーザ照射した方がよりインピーダンスが減衰することが判明した.また,皮膚表面の温度分布をサーモグラフィを用いて観測した結果,経穴にレーザを照射した方が体温の上昇を観測することができた.さらに,医療用レーザを用いた経穴刺激を行った結果,インピーダンス減衰を観測できた.また,レーザを照射してから20分後にインピーダンスの変化が観測できた.レーザパワーによるインピーダンスの違いにおいては100 mWを照射した方がより早くインピーダンスが減衰し,レーザによる刺激後のインピーダンスは60分間かけて元のインピーダンス値に戻ることが分かった.このことから,レーザを照射した後,60分間は効果が持続することが確認できた.以上のことから,低レベルレーザ照射時における効果を評価できたと判断できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画として,レーザ刺激による経穴周辺の皮膚インピーダンスの挙動観察を行う事である.インピーダンス挙動を観測するために前年度作製したインピーダンス測定装置及び,マトリクス型電極を用いてレーザ照射時におけるインピーダンス挙動測定を行った.実験方法として,まず,経穴測定装置を用いて経穴の場所を特定する.その後,経穴と経穴以外の場所にレーザを照射した際のインピーダンス挙動を測定する.実験の結果から,経穴にレーザを照射した方がよりインピーダンスが減衰することが分かった.また,レーザ照射時における皮膚表面温度分布を観測した結果,経穴にレーザ刺激した方が体温が上昇することが確認された.実際に医療現場で使用されている機器を用いて実験を行った結果,同様の実験結果を得ることができた.以上のことから,低レベルレーザによる経穴への刺激評価が出来たと判断される.以上のことから,順調に研究が進められていると判断することが出来る.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進として,現在685nmの半導体レーザを用いた光刺激を行っているが,他の波長における経穴照射刺激を行う.経穴はどのくらいの大きさで広がっているのか未だ解明できておらず,どのくらいの深部なのかも未解明である.そのため,波長を変化させることによって効果的な波長を調査する.また,現在電極を用いた経穴計測を行っているが,より非侵襲的な測定を行うために,ファイバプローブバンドルを用いた経穴測定装置を構築する.
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