研究課題
睡眠障害診断を目指した自動睡眠音検査システムの開発を行うために、平成29年度は主に以下の研究に取り組んてきた。1.ニューラルネットワークを用いた高速呼吸音検出法をさらに改良し、他の方法との性能比較を行ってきたので、これまでの研究結果をまとめて学術雑誌に発表した。2.これまで、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)のスクリーニングのための聴覚モデルに基づく睡眠音分類システムの開発を行ってきた。昨年度より、男性・女性の睡眠音データベースを拡大、方法の改良を行い、本システムの有効性の検証を行なった結果、男女ともに、いびき抽出の有効性を確認することができた。OSASスクリーニングについては、平均精度は高いが、ばらつきが大きい部分が確認された。そこでシステムの更なる改良を行い、識別器を工夫することで、システムの性能の向上を試みた。結果としてOSASの診断法としては、まだ課題が残るものの、拡大した睡眠音データベースに対しても本システムの有効性を確認することができたため、国内会議で研究成果の発表を行った。3.睡眠時に発生する、より多くの睡眠音の検出を目指して、録音データから嚥下音を検出することができるか検討を進めていた。咽喉マイクを使用して、仰臥位、座位での嚥下音を調査したところ、仰臥位での嚥下音は、座位に比べて音圧が大きくなることが示唆された。この結果は、睡眠時における嚥下音の非接触検出の実現可能性を示唆していると考えられる。
3: やや遅れている
概要に記載されている通り、高速呼吸音検出法の更なる改良・他の方法との性能比較を行い、研究成果を学術雑誌に発表することができた。いびき抽出では、睡眠音分類システムの有効性を確認することができた。ただ、OSASのスクリーニングのための睡眠音分類システムの有効性については、詳細な評価を実施する必要があった。また、呼吸音から睡眠状態を判定することを目指して研究を進めてきたが、特定の条件下での録音データには、予想以上に小さな呼吸音が存在するため、それを検出することのできる新たな方法の検討が必要であった。
引き続き、臨床データの更なる収集、蓄積を積み重ね、睡眠障害診断支援を目指した自動睡眠音検査システムの開発を推進していく。今後残りの期間で、睡眠音検査システムの更なる改良、臨床データの更なる解析等を行っていく予定である。
(理由)OSASスクリーニングについて、本システムの有効性の調査を行ってきたが、詳細な評価を実施する必要があり、予想以上の時間を要した。(使用計画)研究成果の公表のために、論文投稿、学会発表を行うこととし、未使用額は主にその経費に充てることにする。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Biomedical Signal Processing and Control
巻: 41 ページ: 81-89
https://doi.org/10.1016/j.bspc.2017.11.005