睡眠障害診断を目指した自動睡眠音検査システムの開発を行うために、平成30年度は主に以下の研究に取り組んできた。1.覚醒時の呼吸音検出を目指して、新たに、聴覚モデルに基づく呼吸音検出法の提案を行った。現在、ニューラルネットワークに基づく高速呼吸音検出法との性能比較を行い、提案法の有用性を検討しているところである。2.引き続き、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)のスクリーニングのための聴覚モデルに基づく睡眠音分類システムの開発を行ってきた。昨年度より、睡眠音データベースをさらに拡大して、システムの改良を行い、有効性の検証を行なった結果、データベースを拡大した場合であっても、いびきの自動抽出の有効性を確認することができた。本研究を通じて、OSASの診断システムとしては、まだ課題が残るものの、OSASスクリーニング用システムとしては、有効性が示唆された。3.昨年度から引き続き、睡眠時の(非接触)録音データから嚥下音を検出することができるか検討を進めていた。咽喉マイクを使用した場合、座位に比べて、仰臥位の場合、嚥下音の音圧が有意に増加することが確認されている。この研究成果をもとに、非接触マイクロフォンの録音データにも嚥下音が含まれるかどうか検討を行ってきた。仰臥位で空嚥下を行ってもらい、咽喉マイクと非接触マイクロフォンを用いて同時録音を行うことにより、非接触マイクロフォンの録音データにも、嚥下音が含まれることが確認された。
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