研究課題/領域番号 |
15K01341
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
日向 奈惠 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (80587668)
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研究分担者 |
志水 美文 (下村美文) 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (30396759)
武田 朴 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (40583993) [辞退]
神田 浩明 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 主任研究員 (90260067)
梅田 勝 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (20725684)
篠原 一彦 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (00327082)
田仲 浩平 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (60449949)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DNA ヒストグラム |
研究実績の概要 |
本年度は、先行研究のValidationを目的として、採取された大腸がん患者70症例(がん組織60例、正常組織58例)に対して線形判別分析(linear discriminant analysis:LDA)を行った。結果、先行研究に比べ感度が7%程度低下したので、診断アルゴリズムの改善が必要と考えた。アルゴリズムの改善として、最初に領域法の改良を行った。新しい特徴量として、最大ピーク(PK1)と二番目のピーク(PK2)の比(PK2/PK1)、G0/G1領域とPseudo領域の細胞数と最大ピークの半値幅を追加した。追加した特徴量と先行研究の特徴量(Debris、S、G2/M、overG2/M)はKolmogolv-Smilnov testを行い、がんと正常の分布が異なると判定された特徴量を選択した。選択された特徴量は、PK2/PK1、Debris、S、G2/M、overG2/M領域の細胞数である。また原ヒストグラムの最大ピークのアドレスとPK2/PK1が1/2を越えるセカンドピークの有無によってスクリーニングを行った後、統計処理をした。新しいアルゴリズムによる結果は感度80%、特異度95%以上を示した。以上の結果については、論文作成し、H29年5月末までには、投稿予定である。 他臓器の検討については、アルゴリズムの改良を優先したので、29年度以降に実施する。 顕微鏡所見とDNAヒストグラム分析の関係については、顕微鏡所見上、がん組織はLCA陽性細胞が少ない傾向がみられ、ビメンチンとLCAの免疫染色標本を撮影し、その画像からそれぞれの面積を求め、その比率を用いたがん診断を試みたが、画像処理による自動計算法の開発に難航し、専門家にも相談したが、27年度手動で行った検討結果以上の成果は得られなかった。さらに画像の専門家と相談しながら進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸癌の診断アルゴリズム研究を進めているなかで、先行研究のvalidationを目的に、新たに大腸癌70症例のデータを解析した。その結果、線形判別法では7%程度の感度の低下がみられたので、スクリーニングの項目を追加し、さらに領域法の改良を試みた。その結果診断法の性能向上がみられたので、その成果をコンピュータ外科学会とSI2016に発表した。大腸がんの診断アルゴリズム研究は概ね順調に進み、成果について論文を作成してところである。他の臓器については、大腸がんの成果を応用して、研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
大腸がんについては、領域法の改良に引き続き、FFT法との組み合わせによる性能向上について検討する。他臓器については、大腸がんの成果に基づいて、アルゴリズムの検討を行う。画像の応用については、継続して専門家に相談するなど、検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の投稿が遅れ、投稿料と英訳の費用などが生じなかった。また、既存のデータ解析の結果に基づいてデータ収集の方針を決める予定であったが、既存のデータの解析が完了しなかったので、新たに標本の採取を行わなかった。結果謝金が生じなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
英文論文を投稿する予定であり、その英訳料と投稿料に使用する。解析用のソフトの保守費用などに用いる。
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