心臓MRI(CMR)は空間分解能に優れ、心機能を定量的に評価する上で、最も優れた方法である。左室ストインは心機能を定量的に評価する上で有用な指標であるが、CMRを用いたストレイン計測は特殊な画像収集方法、解析ソフトが必要であり、広く臨床には普及していなかった。近年登場したFeature tracking (FT)法は心エコー図の2D speckle tracking法同様cine CMR画像からストレイン値を計測できる簡便かつ新たな方法である。我々はこの方法が予後予測に簡便かつ有用なものであるとの仮説を立てた。本研究の目的はこの仮説を証明するために1): FT法によるストレイン値計測は信頼できる正確な方法であることを証明し、2): 予後予測の新たな指標になり得ることを後方視的、前方視的に多施設で検討することである。平成29年度は最後の前方視的研究を施行した。具体的には平成27~29年に各施設で施行されたCMR症例を収集し、約380例のCMRデータを解析用のコンピューターに移行した。現在多断面の短軸断層CMR画像に通常計測を適応、左室容量、左室駆出率(LVEF)を計測している最中である。また今後別の検者がFT法によりストレイン計測を実施する。最終登録患者の予後観察期間が6ヶ月となる平成30年6月より予後評価を実施し、約3ヶ月程度で予後調査を終了する予定である。その後統計解析を行い、その結果をもとに論文を作成し、投稿する予定である。一方約半数の患者は左室機能低下症例と考えられ、左室機能不全を拡張型心筋症、虚血性心筋症、二次性心筋症の3群に分け、各群での有用性をサブグループ解析で検討することも考えている。一方有意な結果が出なかった場合は、観察期間が短いことも考えられるため、全ての患者の観察期間が最低1年となる平成30年12月に予後調査を再実施し、再解析を行うことも考えている。
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