研究課題/領域番号 |
15K01349
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
山口 充孝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究員 (10375404)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ビームモニタリング / 粒子線治療 / 電子制動輻射 / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
粒子線がん治療技術の信頼性の向上には、粒子線到達深さ(ブラッグピーク位置)のリアルタイムモニタリング手法が重要である。本研究では、炭素線における研究で培った知識・経験を生かして、陽子線における制動輻射によるリアルタイムモニタリングの実現を目指す。 (1)平成27年度は、まず、陽子線照射施設において、入射エネルギー約 221 MeV の陽子ビームを水ファントムに入射した際に放出される二次放射線の深度依存性を、約40×40 cm の視野を有するピンホール型ガンマカメラを用いて実測した。ガンマカメラの遮蔽材には高エネルギーのガンマ線に対しても高い遮蔽能力を有するタングステンを使用し、検出素子にはGAGGシンチレーションアレイを用いた。 (2)次に、モンテカルロシミュレーションを実施し、実験結果との相関を確認した。計算資源に制限があり、これまでのシミュレーション方法で実験をシミュレートすることが実質的に不可能であったため、新たに制動輻射発生を再現するサブプログラムを作成した。これにより(1)で実施した実験のモンテカルロシミュレーション、及び、制動輻射に対するバックグラウンド混入量の定量的見積が可能となった。作成したシミュレーション環境を用いて、(1)の実験をシミュレーションした結果、シミュレーション結果が実験結果をよく再現することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた 実験及びシミュレーションスタディについて、予定通りの進捗が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は予定通り、バックグラウンドの分析と削減方法の検討を行う。制動輻射に対するバックグラウンドとしては、体内を構成する原子及び原子核からの二次放射線(エックス線、ガンマ線、電子線、荷電粒子線、中性子線等)が考えられる。27年度に構築したシミュレーション環境を利用し、二次放射線の放出に関して詳細に解析を行い、得られた結果を基に、バックグラウンドの削減方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションスタディに十分に時間を掛ける必要があり、これにより物品等の購入を次年度に繰り越す必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度予定していた実験機材の購入に使用する。
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