製作が遅延していたGAGGシンチレーション結晶アレイが完成し、これを放射線検出部に用いた、制動輻射計測による陽子線イメージング装置を組み上げ、動作確認を行った。コリメータを装着しない状態で検出部の全面に線源を配置し、リストモードにおいてデータ取得し解析した結果、測定開始から数十分程度でデータの取得が停止していることが明らかになった。原因を調査したところ、2台で構成されMPPCアレイのうちの片側においてまれにデータ出力の欠損が発生し、欠損のあるデータを効率的に排除するようデータ収集ソフトを修正することで改善することができた。また、データ転送に付随した長時間のデッドタイムが発生していることが分かり、データ転送方式を微修正することで対応し、デッドタイムのほぼ無い計測が可能となった。 次に、ピクセル分離を行うためのポジションマップ作成ソフト、および、ピクセル毎のエネルギーキャリブレーション用ソフトを作成し、Ba-133点線源を用いて、シンチレーション結晶アレイのピクセルの分離、および、各ピクセルのエネルギキャリブレーションを実行出来るようにした。これにより、測定直前に短時間で装置調整を行うことが可能となった。 完成したイメージング装置について、バックグラウンド低減効果、陽子線イメージングにおける空間分解能および感度等の評価を行い、モンテカルロシミュレーションにより予測されている性能と同程度の性能が得られることを確認できた。
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