研究課題
本研究の目的は、「核酸医薬品による肝毒性発現の誘導機序を明らかにし、ヒトで肝毒性発現を予測可能な方法論を確立する。」ことである。具体的には、①核酸医薬品によるヒト肝毒性の誘導におけるKey分子を探索する。②Key分子を搭載したレポーター細胞を構築することで、ヒトでの肝毒性発現を予測可能なin vitro評価法を確立する。現在報告されている核酸医薬品の肝毒性は、核酸医薬品と細胞内蛋白との結合することが主要因と予測されている。しかし、実際には、配列依存的オフターゲット効果やToll様受容体(Toll like Receptor; TLR)等を介した自然免疫系の活性化など、最終的には他の様々な要因が重なり発症していると考えられる。そのため、特に肝毒性誘発のきっかけとなるようなKey分子を探索する場合、複合要因となりうる要素をできる限り回避した条件で検証をする必要があると考えられる。実際に、ここまでの肝毒性の研究において使用されているアンチセンスは、製薬企業の核酸医薬品開発でドロップアウトした候補品であり、相補配列依存的オフターゲット効果(経路1)および自然免疫系の活性化(経路2)に起因する毒性が排除されているわけではない。そこで本研究ではまず、細胞内蛋白との結合による毒性に特化した肝毒性評価方法を確立するため、「経路1および2による毒性発現を完全に排除したアンチセンス」を独自に抽出する。平成29年度は、平成28年度に選別した“毒性アンチセンス”と誘発しない“無毒性アンチセンス”を用いて、マイクロアレイ解析等によりマウス肝臓における遺伝子発現変動を解析し、核酸医薬品による肝毒性の要因となるKey分子の同定を進めた。
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医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス
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