研究課題
客観的技術評価システムを備えた小児内視鏡外科手術シミュレータは、現在新生児胸郭モデルと幼児腹腔気腹モデルを中心に開発を進めている。これまでに新生児胸郭モデルでは、横隔膜ヘルニアモデルを中心に食道閉鎖症モデルの作成や胸部腫瘍を想定した臓器配置による指摘ポート配置検討への応用などが可能となっている。幼児腹腔気腹モデルでは、内視鏡手術技術認定医(小児外科領域)の課題疾患である胃食道逆流症モデルを中心に、総胆管拡張症に対する総胆管空腸吻合モデルを作成した。これまで開発したモデルとその客観的技術評価システムを用いた、小児内視鏡外科熟練医および小児内視鏡外科修練医の技量の差を定量的に評価し報告・論文化してきた。シミュレータを用いた客観的技術評価により、小児内視鏡外科医の経験症例数に依存して内視鏡外科手術手技の習得におけるラーニングカーブの詳細を科学的に証明することができた。技術の習得や熟練度は往々にして手技にかかる時間や合併症の有無などの結果で評価される事が多いが、我々の検討では小児内視鏡外科医の技術は、その精確性がまず習得され、安定した安全な手技がまず確立される。その次に手技の迅速性が向上し、所要時間が短縮することが科学的に証明された。本シミュレータの開発により、単にトレーニングツールとしてのシミュレータでなく、客観的技術評価を用いた外科医修練の過程を詳細に把握し、より濃密なフィードバックを修練医に提供するとともに、熟練医には技術の維持に必要な情報を提供することが可能である。現在、幼児腹腔気腹モデルで使用する腎盂形成術モデルの作成が進んでおり、尿管・腎盂の作成、拡張腎盂を有する腎臓モデルの作成まで終わり、両モデルを組み合わせた腎盂形成の試行を行っている。同シミュレータは将来の実用化(製品化)も見据えた開発を進めている。
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