研究実績の概要 |
ASV療法による交感神経制御を介した心臓リハビリテーションの構築を行うべく、H27、28年度までにそれに付随する中枢性の交感神経活動(筋交感神経活動:MSNA)と呼吸、あるいは薬物療法との相互関係の解析を行い、結果を誌上報告した(Circ J 2016, J Card Fail 2017)。 H29年度は上記研究成果を基盤として、心臓リハビリテーションの成否に関係する栄養障害に注目し、慢性心不全における交感神経活動と栄養障害の関係を多方面から解析するとともに、ASV療法による交感神経制御と栄養障害への効果と相互関係についても解析を広げて検討した。 慢性心不全患者を対象に交感神経活動(MSNA)とともに栄養指標であるGNRI、その他の指標と複合イベント(総死亡+心不全入院)との関係を検討した結果、多変量Cox解析で交感神経活動、GNRI、LVEF、身体活動能の4つが独立した予後予測因子であった。また交感神経活動の亢進は慢性心不全患者における経時的な体重の減少と密接に関連していた。 さらにASV療法の長期使用による交感神経活動と栄養障害への影響を解析した結果、ASV療法は交感神経活動抑制とともに栄養障害を改善し、交感神経活動抑制効果と栄養指標の改善との間に密接な相関関係があることが示唆された。 以上、慢性心不全患者におけるASV療法による心臓リハビリテーションモデルを確立する上で、本研究はその一助となる可能性が示唆された。
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