研究課題/領域番号 |
15K01367
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小野 玲 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (50346243)
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研究分担者 |
中村 哲 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10403247)
丹生 健一 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20251283)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
酒井 良忠 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90397802)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢がん / サルコペニア / 認知機能 / 社会的孤立 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は高齢がん患者の根治療法・補助療法実施前の身体機能(サルコペニアや身体フレイル)、認知機能、社会的フレイル(または社会的孤立)が副作用発生率・治療完遂率に影響を与える要因を明らかにし、高リスク集団を同定するスクリーニングツールを開発することである。平成29年度は、平成28年度から症例を集積し高齢がん患者の根治療法・補助療法に対する術後30日以内の合併症発生に影響を与える要因をサルコペニア、認知機能、社会的孤立から明らかにすることである。 解析対象は、食道、胃、大腸、口腔がんの診断にて神戸大学医学部附属病院に手術目的で入院した107名(71.2歳;60~92歳、女性22名)とした。サルコペニアは筋量、握力、歩行速度からアジア基準に準じ判定し、認知機能低下はMini Mental State Examination24点未満、社会的孤立は日本語版Lubben Social Network Scale短縮版にて12点未満とした。術後合併症はJCOG術後合併症基準ver2.0に準じ、術後30日以内にカルテに記載されている場合を合併症有りとした。解析は術前のサルコペニア、認知機能低下、社会的孤立の有症率を算出した後、アウトカムを術後合併症、主要因をサルコペニア、認知機能低下、社会的孤立、交絡変数を性、年齢、clinical stage、喫煙、飲酒としたロジスティック回帰分析を行った。 結果は、サルコペニア・認知機能低下は14%、社会的孤立は30%であった。ロジスティック回帰分析の結果、術後30日以内の合併症は社会的孤立(オッズ比;4.5、95%CI;1.3~15.0)、喫煙有と関連を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療後半年、1年の対象者を外来通院時の現状調査に欠損が多いいが、カルテ上は副作用発生率、治療完遂率、再入院状況などはフォローできている。また、症例集積も当初の予定通りであり、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は本研究の最終年度であり、さらに症例を集積し、高齢がん患者の根治療法・補助療法終了半年後、1年後に対する副作用発生率、治療完遂率、再入院率に影響を与える要因を身体機能(サルコペニアや身体フレイル)、認知機能、社会的フレイル(または社会的孤立)から明らかにし、高リスクな集団を同定するスクリーニングツールの開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究における、認知症研究と統計解析に関する専門家との打ち合わせに関して日程が合わず、謝金が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成30年度は、認知症研究と統計解析に関する専門家との打ち合わせを行い、研究成果について国際・国内学会での発表と論文作成を行う。
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