脳梗塞発症後の生体機能をより詳細に評価し,脳梗塞に伴うADL低下やフレイル(虚弱)の促進因子・阻害因子,体重との関連を明らかにするため,急性期に入院を必要とした脳梗塞と一過性脳虚血発作を対象として,本研究に同意が得られ,本研究の臨床検査が可能な症例を登録することとした. ADL低下に関する生理検査所見の一つとして,モーションレコーダーによる運動機能評価を行うこととした.脳梗塞発症後に急性期病院入院中におけるADL低下の程度は個人差がきわめて大きいことより,汎用性と客観性,再現性の高い,かつ,簡便な指標が必要と考え,望ましい行動課題を試案し,従来から報告されているものも含めて検討を進めた. 並行して,以前より本院を事務局として地域の基幹3病院とともにhospital-basedで登録しているデータベースの中から,本院から平成27年度に登録されている240症例に関して,身長・体重,バイタルサイン(体温,血圧,脈拍),急性期臨床症状(発症形式,臨床経過,神経症状,mRS),危険因子の有無と関連検査値(高血圧,脂質異常症,糖尿病,心房細動,心不全,高尿酸血症,クレアチニン値,尿蛋白,ホモシステイン値,喫煙,飲酒,骨粗鬆症,ビタミン値),各危険因子のコントロール状況,生理検査所見(心電図CVrr,モーションレコーダーによる運動機能評価),画像検査所見(頭部CT・MR,頸部超音波,頭頸部MRA),詳細な治療薬(抗血栓薬の薬剤名および投与量,降圧薬・脂質異常症治療薬・糖尿病治療薬の種類),入院当初の絶食期間や補液内容を集計し,後方視的な解析を合わせて進めた.
|