研究課題/領域番号 |
15K01369
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三上 幸夫 広島大学, 病院(医), 助教 (80422129)
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研究分担者 |
平田 和彦 広島大学, 病院(医), 理学療法士 (10423352)
木村 浩彰 広島大学, 病院(医), 教授 (60363074)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 下肢変形性関節症 / 理学療法 / 低周波刺激装置 / 反重力トレッドミル |
研究実績の概要 |
平成28年度は①保存的加療中の患者に対する研究を継続するとともに、②術後患者に対する研究を開始した。①保存的患者に対する研究では、下肢変形性関節症患者20例と対象とし、反重力トレッドミル上での歩行および平地歩行を実施して、反重力トレッドミル歩行および平地歩行中の歩行速度・歩行後の疼痛(NRS)・運動強度・消費カロリーを計測した。平均歩行速度は反重力トレッドミル歩行; 3.8±0.9km/h、平地歩行; 2.9±0.7km/hであり、歩行後の疼痛は反重力トレッドミル歩行; 2.3±1.9、平地歩行; 4.3±2.1であった。運動強度・消費カロリーは反重力トレッドミル歩行; 3.3±0.8METs・31.1±12.2kcal、平地歩行; 3.1±0.8METs・29.3±5.8kcalであった。反重力トレッドミル上では疼痛が軽減し、歩行速度が上がることによって、平地歩行と同等の有酸素運動を行う事が可能であり、反重力トレッドミルを用いた新規型理学療法は有酸素運動の面からも下肢変形性関節症患者に対して有用であることが明らかになった。②術後患者に対する研究では、変形性股関節症に対して人工股関節置換術を施行した症例を対象とした。これまでに計20例に対して、新規型理学療法と従来型理学療法を行った。これまでの結果では退院時において、新規型群(10例)ではa)膝伸展筋力:16.9±8.1kgf、b)10m歩行テスト:14.9±2.1sec、c)TUG:18.4±4.6sec、d)6MD:260.8±31.5m、従来型群(10例)ではa)膝伸展筋力:13.4±4.0kgf、b)10m歩行テスト:20.0±8.7sec、c)TUG:21.9±7.9sec、d)6MD:196.3±59.8mと、新規型理学療法では、従来型理学療法に比べて術後の下肢筋力が増強し、歩行能力改善効果もみられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度では、①平成27年度の研究で得られた保存的治療中の下肢変形性関節症患者に対する新規型理学療法の結果をまとめ、国内・国際学会で発表して高い評価を得た。更にその内容を英文雑誌に投稿し、minor revisionでの採択結果を頂いた。現在、再投稿準備を進めている。また、予定通り②下肢変形性関節症に対して人工関節置換術を施行した術後患者に対する介入と評価を開始した。現在、術後患者に対する研究は順調に進んでおり、更に症例数を積み上げている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は①保存的加療患者に対する研究内容を最終的に英語論文として完結する。また②下肢変形性関節症に対して人工関節置換術を施行した患者に対する介入と評価を継続し、結果をまとめて、国内・国際学会で発表する予定である。平成29年度内に最終結果をまとめて、英語論文として投稿したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に購入予定としていたデータ解析用コンピューター(Panasonic社製)(1×@300)とコンピューター関連消耗品が購入出来ていないことが主な要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は研究や解析を進めるとともに、平成28年度に未購入であったデータ解析用コンピューターとコンピューター関連消耗品を次年度使用額の範囲内で購入する予定である。また、平成29年度は主に術後患者に対する研究を進め、その結果を国内・国際学会で発表し、英語論文として投稿する予定である。従って、これらの目的で旅費や英文校正費として使用する予定である。
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