研究課題/領域番号 |
15K01369
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三上 幸夫 広島大学, 病院(医), 助教 (80422129)
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研究分担者 |
平田 和彦 広島大学, 病院(医), 理学療法士 (10423352)
木村 浩彰 広島大学, 病院(医), 教授 (60363074)
河江 敏広 広島大学, 病院(医), 理学療法士 (00598948)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 反重力トレッドミル / 低周波治療器 / 理学療法 / 人工股関節置換術 |
研究実績の概要 |
人工股関節置換術(THA)の術後早期には術前からの身体機能低下や疼痛により、運動機能訓練が進まないことがある。そこで我々は反重力トレッドミルと低周波治療器を用いた新しい無痛性理学療法(ハイブリッドフィジオセラピー)を考案し、THA施行症例に対する術後ハイブリッドフィジオセラピーの効果を検討した。2017年2月から9月までに広島大学病院で変形性股関節症に対してTHAを施行した30例(男性9例、女性21例、平均年齢65.1歳)を対象とした。患者を無作為に従来型理学療法群(従来群;15例)とハイブリッドフィジオセラピー群(ハイブリッド群;15例)に分け、従来群では下肢関節可動域訓練、重錘を用いた筋力増強訓練、平行棒内歩行訓練を中心に行い、ハイブリッド群ではさらに反重力トレッドミル上での歩行訓練と低周波治療器による下肢筋力増強訓練を組み込んだ。対象患者では術後1日目から連日理学療法を行い、術後2週間目に運動機能評価を行った. 術後運動機能評価では従来型群:a) 膝伸展筋力:13.3±3.4kgf、b) 6MD:217.5±93.9m、ハイブリッド群:a) 膝伸展筋力*:18.5±6.9kgf、b) 6MD*:319.8±119.1mであった (* p<0.05)。入院期間および在宅復帰率は従来群:23.5±5.1日・53%、ハイブリッド群:19.5±4.6日・80%であった。ハイブリッドフィジオセラピーでは術直後から筋力増強訓練や歩行・持久力訓練を行うことが可能であり、ハイブリッド群では従来群に比べて術後早期の下肢筋力が増強し、歩行能力改善効果も見られた。また、ハイブリッド群では入院期間が短縮し、在宅復帰率も改善していた。THA術後のハイブリッドフィジオセラピーは術後早期の運動機能を改善し、在宅復帰を促進する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下肢変形性関節症の保存的治療患者に対するハイブリッドフィジオセラピーの効果については既に学会報告・英文誌投稿ともに終了した。現在は下肢変形性関節症の術後患者に対するハイブリッドフィジオセラピーの効果を検討中である。しかし、手術例が予想以上に少なく、逆に合併症などにより除外となる症例もあることから、想定以上に時間を要しており、計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き術後患者の対象症例数を増やすとともに、2018年7月にパリで開催される国際リハビリテーション医学会に於いて結果を報告する予定である。また、国際学会発表前には結果を最終的にまとめ、学会発表後に英文誌に投稿する予定である。2018年度末までには英文誌に掲載されることを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗が遅れ、最終的な国際学会発表や英語論文校正が未だ行えていないため、次年度使用額が生じた。そのため、研究期間を1年延長し、平成30年度はこの国際学会発表や英語論文校正費用として使用したい。
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