研究課題/領域番号 |
15K01373
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
樋口 逸郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80183573)
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研究分担者 |
榊間 春利 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10325780)
松田 史代 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70437953)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サルコペニア / オートファジー / 老化促進マウス |
研究実績の概要 |
老化促進マウス(SAMP1)を購入し、動物実験施設にて50週齢まで飼育し、運動をさせた高齢SAMP1群と運動を行わない高齢SAMP1群に分け8週後(58週齢)に屠殺した。ヒラメ筋、腓腹筋、長趾伸筋、前脛骨筋を採取し、通常の組織化学的染色とともに各種抗体を用いた免疫組織化学的検索を実施した。その結果、運動を行った群でbeclin1、LC3、p62などのオートファジー関連因子発現が増加していた。筋重量は運動群と非運動群で有意差は認めなかった。SAMP1マウスの定期的な行動解析(open-field test や物体認識テスト、1時間の活動量計測など)も実施した。その結果高齢SAMP1の物体認識テストでは物体認識回数に有意な低下がみられ、海馬を含む広範囲の領域で脳機能低下が示唆された。運動の脳機能に及ぼす効果については今後の検討が必要である。 患者生検筋の検索では転倒により大腿骨近位部骨折を呈した高齢女性の中殿筋の筋病理で、8症例すべてにおいてtype 2筋線維萎縮が認められ、サルコペニアが存在する可能性が高いと考えられた。特にtype 2筋線維萎縮が著明に認められた2症例においてはLC3の著明な亢進と縁取り空胞が認められ、酸フォスファターゼ染色においては著明なリソソーム活性の亢進が認められた。これらのことより、サルコペニアとオートファジー異常の関連性が示唆された。 加齢の影響を受けた骨格筋において、オートファジーの異常がみられ、SAMP1における運動は基底のオートファジー活性を高め、細胞内のクリアランスを保つ可能性が示唆された。運動による明らかな筋量の増加が見られなかったので、サルコペニアの予防のためにはより早期からの運動が必要と思われる。
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