研究課題/領域番号 |
15K01376
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大城 琢磨 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00536550)
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研究分担者 |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70301398)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 加齢による排尿の変化 / 膀胱と尿道機能の関係 / 虚血 / 一酸化窒素 |
研究実績の概要 |
膀胱の老化は予防できるか? 加齢膀胱と膀胱血流低下のテーマで研究を進めている。加齢に伴う排尿障害、とりわけ残尿量の増加の原因として膀胱の収縮力の低下が原因の1つであることを我々の研究で証明されている。現在加齢に伴う排尿障害の原因として尿道機能に注目しており、加齢モデルラットを用いて、排尿時尿道の弛緩不全が残尿量の増加に寄与するとの仮説のもとにその研究が進行中である。正常ラットを用いcontrolの膀胱収縮に伴う尿道の弛緩の状態を検証するために、ラットの膀胱および尿道に圧トランスデューサーを挿入し、その変化を記録。同様に加齢モデルラットを用い同様の実験で、加齢に伴う尿道機能の変化を確認した。加齢に伴い尿道の弛緩が抑制されることが認められた。この原因として加齢による血流低下に伴う一酸化窒素の低下が尿道の弛緩不全を惹起していることを動物実験でさらに検証している。一酸化窒素のアゴニストとしてLアルギニン投与。アンタゴニストとしてL-NAMEを投与し尿道機能の変化を捉えた。加齢に伴う排尿障害、残尿増加は、虚血によって一酸化窒素産生の低下が引き起こされ、その結果排尿時の尿道弛緩が抑制されることが原因となる可能性が示唆された。この研究結果については2016年5月9日に国際学会(アメリカ泌尿器科学会)で発表した。また近く論文発表を行う予定である。また、2017年度はより生理的な評価のため覚醒状態での若年および加齢ラットの排尿状態を評価し、その変化について2017年5月12日に国際学会(アメリカ泌尿器科学会)で発表予定である。また、今回の科研費により行われた研究の結果を総合し、さらに論文発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加齢に伴う排尿機能の低下の原因について、臓器虚血、一酸化窒素の減少が一因との仮説に基づき研究を行っているが、排尿機能の一翼を担っている尿道機能に関して一酸化窒素の減少が排尿時の尿道の弛緩を抑制している可能性が示唆された。生理的に排尿時は膀胱が収縮するとともに尿道が弛緩するが、尿道弛緩が一酸化窒素のアゴニストであるL-アルギニンの投与によって改善する。さらにアンタゴニストのL-NAMEによって阻害されることが証明された。さらに、若年と加齢の尿道機能の比較実験では、加齢に伴って尿道の弛緩が減弱することが示された。研究結果は前述の仮説を支持するものであり、さらに加齢に伴う尿道機能の変化はこれまでほとんど報告のない新しい知見である。今後排尿機能低下の予防に関する研究につながるものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、新たな知見として加齢に伴う排尿時の尿道弛緩が減弱する現象が確認された。さらに結果の内容を追及するため、膀胱と尿道機能の神経学的関係性の研究に発展する予定である。また、現時点である程度証明された事柄に関して組織学的、生化学的定量実験を追加することにより、その根拠を検証する。また、加齢に伴う変化についてさらなる原因の検索および、虚血、一酸化窒素の役割およびそのほかの要因の解明から、治療的研究へつなげていく予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度予定していた実験について、計画通り遂行できなかったものに関し、実験動物の加齢ラットが計画当初の頭数確保が困難で、実験動物及び試薬、実験器具含め一部研究が次年度に持ち越すことになり、そのため次年度使用額が生じた。 研究の計画の変更により当初学会発表参加を計画していたが、次年度に持ち越す研究についての成果発表も併せて延期することとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在の研究の成果発表における国際、国内学会への参加。及び研究成果に関しての論文発表の費用に充てる計画である。 その他、次年度に持ち越した研究に関する実験試薬、器具、実験動物の購入に充てる計画である。
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