研究課題/領域番号 |
15K01387
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研究機関 | 東北薬科大学 |
研究代表者 |
森島 貴顕 東北薬科大学, 大学病院, 診療放射線技師 (00742496)
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研究分担者 |
千田 浩一 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20323123)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション医学 / 放射線防護 |
研究実績の概要 |
透視台横置き状態での追加防護具(既存)の有無の状態でアクリルファントム(厚さ20cm)とサーベイメータ(日立アロカ社製ICS-321)を用い散乱線量を比較した。その結果、追加防護具を使用した場合、床上高さ90cm(生殖腺位置を推定)では、術者位置にて86.1%、床上高さ150cm(水晶体位置を推定)では、術者位置にて88.9%散乱線を除去することができた。また、術者被ばく線量では(個人線量計の結果から)追加鉛防護具導入前に比べ導入後では、実効線量で28.6%、等価線量で64.3%を低減することができた。この結果を関連学会にて発表した。また論文化にむけて準備中である。 次に、嚥下造影検査の1回あたりの透視時間(n=56)を調べた結果、平均8.2分であった(調査期間2014.4~2015.4)。透視台を嚥下造影検査の状態(縦置き)でX線照射口に取り付け可能な付加フィルタを用い、人体ファントム(京都科学社製PBU-50)の甲状腺位置に線量計を貼り付け患者の皮膚表面線量の推定をおこなった。フィルタの種類はアルミニウムフィルタを1.0mm、2.0mm、3.0mmと銅フィルタ0.5mmの4種類を使用した。その結果、フィルタなしでの表面線量(7.8mGy/5min)に比べて、1.0mm、2.0mm、3.0mmアルミニウムフィルタはそれぞれ15.4%、30.8%、43.6%また、0.5mm銅フィルタでは55.1%皮膚線量を低減することができた。ただし、3.0mmアルミニウムフィルタと0.5mm銅フィルタでは透視条件が厳しく(見えずらく)、実際の検査で患者に使用するには問題が残った。この結果から現段階での患者皮膚線量は1検査あたり12.79mGy(7.8/5×8.2)と推定されるが、追加のフィルタを適切に用いることで患者皮膚線量は低減できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
寝台横置きの状態での追加防護具導入前後における散乱線量の評価、嚥下造影検査1回あたりの、平均透視時間や患者皮膚線量の推定、追加フィルタにおける、皮膚線量の低減の予測などはこの1年で順調に進めることができた。しかし、透視台縦置き状態で使用可能な追加防護具の試作がまだ進んでいない。形状や材質など研究段階である。しかし、ある程度方向性は見えているので、今後は関連企業とさらに連携して開発を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
透視台縦置き状態で使用可能な追加防護具の開発を進める。研究を進めるにあたり、関連企業のみならず、連携研究者の意見も聞き遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
透視台縦置き状態で使用可能な追加防護具の作製が進んでおらず、作製した際に術者に使用してもらう予定であったポケット線量計、リアルタイム線量計の購入にも至っていないことが理由として挙げられます。
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次年度使用額の使用計画 |
追加防護具の試作を進め、ポケット線量計やリアルタイム線量計を購入し、臨床の場で術者に使用してもらい、防護具導入前後の被ばく線量の評価を実施する。
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