研究課題/領域番号 |
15K01389
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
東條 美奈子 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (80327345)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心臓リハビリテーション / 認知機能 / 高齢者 / 心不全 |
研究実績の概要 |
本研究では、「慢性心不全患者において包括的外来心臓リハビリテーションが、認知機能障害の進行抑制に寄与できるかどうかを明らかにすること」を目的に、北里大学東病院心臓二次予防センターに登録し,継続的な疾病管理が行われている70歳以上の広義の慢性心不全患者のうち心臓リハビリテーションが処方された患者を対象とする臨床研究を行った。本研究開始前に、北里大学医学部・病院倫理委員会 観察・疫学研究審査委員会の審査を受け、承認された。 具体的には、日常生活動作における機能評価としてとしてBarthel indexと機能的自立度評価法FIMを、簡易認知機能検査としてMMSEを、さらに前頭葉機能としてFABの評価を行った。抑うつ状態の評価として、簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)を用い、血管内皮機能は、反応性充血による血管内皮機指数として、RH-PAT indexを用いて評価した。立位バランス能力の評価指標として、FRTと片脚立位時間を用い、身体能力として簡易身体能力バッテリーを用いた。同意の得られた対象者にこれらの初回評価を行ったうえで、ガイドラインに基づく包括的心臓リハビリテーションを施行した。心リハ定期参加群においては、身体機能評価と生活指導に加え、1回に30分程度の運動療法を行い、定期的に包括的心リハとしての指導介入を行った。平成27年9月より登録を開始し、予定通り、登録患者数80症例に達した。初回検査では、FABと6分間歩行距離(P=0.005, r=0.58)、FRT(P=0.003, r=0.52)などとの間に有意な正の相関を認めており、高齢心疾患患者の歩行機能およびバランス機能は認知機能と関連し、特に前頭葉機能と強く関連する結果が示唆された。半年後の評価では、心リハ定期参加群においてMMSEとFABの改善のみならず、血管内皮機能とバランス機能の改善を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果の一部については、昨年7月に開催された第22回日本心臓リハビリテーション学会に横断研究の一部が発表され、縦断研究については、今年8月にバルセロナで開催される欧州心臓病学会(ESC)2017にも演題採択されている。また薬物治療に関するサブ解析については、今年6月に都内で開催される国際心血管薬物療法学会日本部会(J-ISCP)でも発表予定である。 本研究の最終発表については、現在、英語論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果をもとに、認知機能改善の程度に最も良い影響を与えた心臓リハビリテーションの運動プログラムを考案し、最も効果的であったと考えられる慢性心不全疾病管理指導の重点事項を抽出する。さらにこれらの効果を明らかにするための前向き介入研究を計画し、研究実施に向けた準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終解析の際には、研究計画で予定していた通り、βアミロイド2種の血中測定を予定している。本研究では、すべての検体がそろったところで、一括測定を行う予定である。当該年度の研究費残額を測定キット購入費用の一部にあてることは可能であったが、検体測定の精度向上を目的に、今年度にキットの一部を購入することはしなかったため、1006円の残高が生じた。次年度にまとめて同じロットの測定キットを購入し、研究室内での測定を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
最終解析の際には、研究計画で予定していた通り、βアミロイド2種の血中測定を予定している。本研究では、すべての検体がそろったところで、一括測定を行うため、次年度に測定キットを購入したところで、研究室内での測定を予定している。すべてのデータがそろったところで、最終解析結果を論文化する予定である。
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