研究課題/領域番号 |
15K01392
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
船越 智子 (石井智子) 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 特任研究員 (90318460)
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研究分担者 |
町田 修一 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 先任准教授 (40421226)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サルコペニア / 筋サテライト細胞 |
研究実績の概要 |
骨格筋幹細胞であるサテライト細胞の特性、特に分化能に着目して機能解析を行ってきた。サテライト細胞を筋分化条件で培養することで、筋分化に関わる転写因子群の発現は分化のステージに従って変化する。それら転写因子群の発現変化について、雌雄ラット下肢骨格筋由来の筋サテライト細胞を用いて検討した。筋分化誘導によって多核の筋管細胞を形成する筋分化効率は、分化開始4日後には雌雄間で著しい違いが認められ、同培養条件下においては雌性よりも雄性のサテライト細胞の方が高い筋分化能を示すことが確認できた。 筋サテライト細胞の筋分化に関わる転写因子群の発現を免疫染色で比較したところ、筋分化初期に雌雄の細胞間での差異が認められた。雄性細胞ではMyoDの上昇と、Pax7の低下が認められ筋分化が誘導されている状態であることが認められた一方、雌性細胞では雄性細胞に比べてMyoDの発現が低く、Pax7の発現が高いことから筋分化へ進行しにくい状態にある可能性が示された。以上は若齢期のラット由来の細胞についての結果であるが、加齢に伴って雌性筋サテライト細胞の筋分化効率が変化する可能性を示す結果を得ている。 筋サテライト細胞は多分化能を示すことが知られている。例えば、筋サテライト細胞を脂肪分化誘導条件下で培養すると、細胞内に脂肪滴を蓄積し脂肪細胞様の形態へと変化する。これまでに脂肪分化誘導条件下でも筋サテライト細胞の脂肪細胞様への形態変化、脂肪滴蓄積を抑制する素材について検討を行ってきた。それらの結果をまとめ投稿に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋サテライト細胞の筋分化誘導実験に必要な試薬について、ロット間で筋分化効率に著しい差異が生じることが判明したが、複数ロットを入手検討することができず、筋分化実験の実施が中断した。不測の怪我、手術と治療入院のため、その期間実験が中断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは主に若齢動物由来の筋サテライト細胞を用いて機能解析を行ってきたが、今年度は加齢動物を利用する。加齢動物の入手や遺伝子発現情報の豊富さから、実験対象としてラットからマウスへの変更を考えている。また、一細胞解析を実施できる環境にあるため、老若での細胞状態の比較に利用したい。筋分化の効率を上げるための培養条件も改めて検討すべきと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
筋サテライト細胞の筋分化誘導実験に必要な試薬が入手できず筋分化実験の実施が中断した。 不測の怪我、手術と治療入院のため、その期間実験が中断した。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年進められなかった加齢動物由来の筋サテライト細胞の機能解析、筋分化過程における核移行因子群の発現確認を開始する。対象実験動物をラットからマウスに変更するため、筋分化実験については再検討が必要となる可能性がある。計画していなかったが、有用な情報を得られる可能性がある一細胞解析を実施する可能性がある。以上の実施のための経費に充てる。
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