研究課題
諸事情により人工血液を新たに導入した新灌流標本システムの完成には至らなかった。しかし、これまでの研究結果、「生後5日目以降のげっ歯類では、自発的な歩行様活動が上下肢で産生される間は歩行リズムに同期して呼吸リズム・昇圧・開口運動が産生され、これら“脊髄”と “脳幹”で生じる活動は周期的に起こる(= discharge episodes)。また、discharge episodesは“脳幹”と“脊髄” から独自に産生される。」について基礎研究を行った。in vitro標本に光学的・ 電気生理学的手法を適用し、(1)生後5日目未満の“脊髄”と “脳幹”でもdischarge episodesが産生されるのか、(2)discharge episodesは“脊髄”と “脳幹”で産生されることから“神経細胞の活動の産生にはグリア細胞が関係する”との仮説のもと、28年度の“脊髄”LPGの歩行様リズム産生の研究と同様に光学的・ 電気生理学的手法を用いて“脳幹”の呼吸リズムの産生とグリア細胞との関係、を探索した。さらに、灌流標本(in situ標本)に電気生理学的手法を適用し、(3)脊髄神経回路網の生後発達変化におけるグリア細胞の役割について、(4)呼吸中枢に対するオイゲノールの効果、などを探索した。その結果、discharge episodesは年齢に関係なく“脊髄”と “脳幹”で産生される、グリア細胞は神経活動の産生にある程度寄与する、microgliaは成体型の脊髄神経経路網の機能形成に寄与する、などが分かった。今後も灌流標本に人工血液を導入した新灌流システムの立ち上げを継続し、本研究の目的を達成する。と同時に、現行システムでは低体温下の大脳を除く中枢神経系の電気生理学的解析は可能なため、正常や疾患モデル動物の脳幹、脊髄等の神経回路網の機能や機能的生後発達変化の探索なども予定している。
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J. Neurology and Neurophysiology
巻: 10 ページ: 33
10.4172/2155-9562-C2-100