心不全治療におけるASVの治療効果について多国籍間で検討されたSERVE-HF試験の結果、ASV治療群は心血管死亡率がリスクコントロール群に比較して相対的に増加することが報告されたため、2015年6月に日本循環器学会、日本心不全学会から「慢性心不全患者に対してASVの使用に関する注意喚起のステートメント(第1報)」が発表され、研究中止を余儀なくされた。その後、2016年10月、心不全患者におけるASVの使用は禁忌ではなく、慎重に使用するというステートメント(第2報)に変更されたため、研究実施計画書、説明文書に上記内容を追加記載し、再度倫理委員会に諮り、2017年2月に承認を得て研究を再開することになった。当初、研究にエントリーする数は充分であると想定していたが、ASVの慎重使用を追加記載したことにより、研究エントリー数が制限され目標まで達成することができなかった。研究中に心不全の悪化がなく経過良好である症例を提示する。 87才女性。握力10kg。BMI 17.0kg/m2。繰り返す心不全の入院歴があるため2017年5月にASVを導入した。心エコーにて心機能の有意な改善は認められないが導入後心不全入院はない。 84才男性。普通歩行速度 1m/sec未満、BMI 18.3kg/m2。繰り返す心不全の入院歴があるため2017年5月にASVを導入した。心エコーにて心機能の有意な改善は認められないが導入後心不全入院はない。 83才男性。普通歩行速度 1m/sec未満、BMI 18.0kg/m2。繰り返す心不全での入院歴があるため2018年12月にASVを導入した。心エコーにて心機能の有意な改善は認められないが導入後心不全入院はない。 検査値に有意な改善は認められないものの心不全入院が抑制できている可能性があると考えられる。
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