研究課題/領域番号 |
15K01395
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
百崎 良 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70439800)
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研究分担者 |
安保 雅博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00266587)
角田 亘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00453788)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リハビリテーション科専門医 / 脳卒中 / 脳外傷 / 栄養 / データベース |
研究実績の概要 |
DPC(Diagnosis Procedure Combination)データベースを用いて、高齢誤嚥性肺炎入院患者の経口摂取予後に対する摂食嚥下リハビリテーションの効果について検討した。摂食嚥下リハビリテーションを受けた人たちは、受けなかった人たちに比べ退院時経口摂取自立率がオッズ比で1.3倍であった。またDPCデータベースを用いて、高齢誤嚥性肺炎患者の早期経口摂取自立に影響を与える因子について探索的解析を実施した。コックス比例ハザードモデルを用いて検討したところ、男性、低いADL、低体重、重症肺炎パラメーター(脱水、低酸素、意識障害、血圧低下)、いくつかの併存疾患(悪性腫瘍、敗血症、脳血管障害、口腔疾患、精神障害、神経疾患、慢性肺疾患、腎不全)を有している高齢誤嚥性肺炎患者は、なかなか経口摂取自立しないことがわかった。DPCデータベースを用いて、血栓溶解療法(t-PA治療)を受けた脳梗塞患者に対する超早期リハビリテーションの安全性と有効性について検討した。超早期リハビリテーションを受けた人はそうでない人と比べ退院時機能自立率がオッズ比で1.2倍であった。また入院後の脳出血率、7日死亡率、30日死亡率、90日死亡率に差はなかった。日本リハビリテーションデータベースを用いて、リハビリテーション科専門医が主治医として関わることが大腿骨頸部骨折患者の機能予後を改善させることを報告した。主治医がリハ科専門医であった患者はそうでなかった患者に比べADLの改善率が有意に大きく、在院日数も短かった。また、新たなデータベース事業として日本リハビリテーション栄養研究会の症例レジストリーをresearch electronic data capture (redcap)を用いて構築した(大阪大学との共同研究)。現在多施設の協力によりデータの登録を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のデータベース(DPCデータベース、日本リハビリテーションデータベース)を用いた複数の解析を実施した。解析結果は国内や海外の学会にて報告し、いくつは英語論文として発表した。また、リハビリテーションと栄養に関する新たなデータベース事業を立ち上げることに成功した。10以上のデータベース事業協力施設があつまり、データの収集を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
日本リハビリテーションデータベースを用いて、リハビリテーション科専門医が主治医として関わることが脳卒中回復期患者の機能予後を改善させるかどうかを検討する。また、日本リハビリテーションデータベースを用いて、言語聴覚士の訓練量と認知機能の改善率との関連性について検討する。日本リハビリテーションデータベースを用いて、脳卒中急性期患者に対する週7日間リハビリテーションが機能改善に与える影響について検討する。Traumatic Brain Injury Model Systemsのデータベースを用いて脳外傷患者の復職・復学に影響を与える因子について探索的に検討する。日本リハビリテーション栄養データベースに集積されたデータを研究協力者に提供し、各研究の支援を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末にデータベース構築事業に関わる費用として使用しようと考えていたが、データベース構築に協力して頂くRedcapグループとの協議に時間がかかってしまい、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
データマネジメントに関する委託(データベース改訂、データ結合、変換、クリーニング)と追跡調査にかかわる事務作業補助に経費の一部として使用する。ビッグデータのハンドリングには専門的な知識が必要な場面が多く、この経費はデータ解析により妥当な結果をアウトプットするのに必須な投資である。
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