研究課題
口蓋裂児に対するTelepractice(TP)に適したアプリケーションや訓練方法を模索し,最終的には臨床場面へと導入できるように研究を行った.特に,1)スピーカーを通じて口蓋裂術後の共鳴や構音の異常の聴取は可能か.2)発達障害の診断も有する子どもに対してTPは実施可能か.3)前言語期の子どもに対してTPは実施可能あるいは有益か.について検討した.対象は0-17歳の口唇口蓋裂か口蓋裂,あるいは鼻咽腔閉鎖機能不全を呈する患者とした.構音の誤りはTPで除去が可能であった.開鼻声や呼気鼻漏出が強くなったと感じた患者については,鼻咽腔ファイバースコープならびに対面でのST評価を受けるようにフォローをした.この対面での評価結果より,TPでの聴覚評価が正しく行えていたことが確認された.発達障害を認める子どもへの訓練は時間を短縮して実施し,訓練効果も認めた.乳幼児へのTPでは親指導と,患児の喃語の様子を観察し発達をフォローした.遠方在住でありながら定期的にSTのフォローを受けられることで,母親の不安が軽減した.これらの結果より,遠方在住でもTP実施前に対面診察は行うことは必須であると考える.対面診察で,初回の聴覚評価,鼻咽腔ファイバ―スコープ検査,セファログラム撮影,ナゾメータ―検査等を行い,一定期間のTP実施後の再評価も行うことは重要である.また,自宅での訓練であるために,患者の心理的負担は少なく,訓練効果が出やすいと考えられた.さらには移動時間が不要となり,患者・家族の時間的拘束が少ないので,患者にとって受診が容易なために,高頻度の訓練が実施でき,訓練効果がでやすいと考えられた.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
愛知学院大学歯学会誌
巻: 57 ページ: 11-15