研究課題/領域番号 |
15K01415
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
砂川 融 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (40335675)
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研究分担者 |
小池 康晴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10302978)
車谷 洋 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 講師 (00335647)
中西 一義 広島大学, 病院(医), 講師 (60403557)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 利き手 / 運動学 / 経頭蓋直流電気刺激 |
研究実績の概要 |
運動学的ならびに脳科学的に動作課題中の利き手と非利き手の差異を検討するために健常成人を対象に下記の研究を行った. 1.異なる大きさ・重さの物体把持時の手掌のアーチ角度変化と手内在筋筋活動の関連について三次元動作解析並びに筋電図学的にその特徴を検討した.その結果,大きさに対しては母指アーチ角度の変化により対応し,重さに対しては母指球筋の筋活動の変化により物体把持に対応していることが判明した. 2.日常生活動作中の利き手と非利き手の活動量の違いを加速度計を使用して検討しところ,両手動作でも利き手が有意に活動量が多く,主動作手を反対にした際には活動の種類により上腕,あるいは前腕,またはその両方の筋活動量に変化が出現し,活動の種類により代償のパターンが異なることが判明した.また,日常生活での利き手,非利き手の使用頻度の偏りが上肢の運動機能に与える影響を調査したところ,単純課題では使用頻度の偏りと上肢機能の左右差には正の相関を認めたが,巧緻性が要求される課題では相関がなく,手の使用頻度の偏りは単純動作でのみ上肢機能の左右差と関連していることが判明した. 3.体性感覚野に対する経頭蓋直流電気刺激が手指感覚に与える影響を調査するために健常成人を対象に刺激前後で母指と小指の感覚を定量的に評価した.その結果,anodal刺激後にはcathodal刺激後より有意に知覚閾値は低下したが,sham刺激とは有意差を認めなかった. 以上の結果より,利き手と非利き手の動作中の特徴を運動学的に抽出することができ,リハビリテーションにおいて利き手と非利き手では手技やゴール設定を変更する必要がある可能性が示唆された.また,経頭蓋直流電気刺激により手の感覚を修飾できる可能性があることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は主に健常人を対象に経頭蓋直流電気刺激の影響調査と手の三次元動作解析を行い一部論文を作成し,国際雑誌に投稿しているが,採択に至っていない.また,経頭蓋直流電気刺激の影響に関する調査の一部及び運動イメージの影響調査に関して,いずれも順調に進行はしているが論文投稿できるまでデータが完成していない.そのためその応用である患者群を対象とした介入研究がスタートできていない.
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今後の研究の推進方策 |
健常成人を対象にした研究を終了し,患者群に対して介入研究を開始する. 1. 経頭蓋直流電気刺激の手指感覚に与える影響についてより有効な大脳刺激場所の特定と利き手と非利き手での影響の違い調査し,末梢神経障害患者に対する影響調査を行う. 2. 運動イメージのより有効な方法の検討を脳科学的評価から行う. 3. 手疾患患者の術前後,リハビリテーション後の評価を三次元動作解析で行い,手術とリハビリテーションの有効性を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
データの取得が未完成,論文投稿準備が進展していない部分があるため使用予定額が実使用額を下回った.
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次年度使用額の使用計画 |
データ取得に伴う消耗品と論文作成費用に充当する予定である.
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