研究課題/領域番号 |
15K01417
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩永 竜一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40305389)
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研究分担者 |
仙石 泰仁 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10248669)
徳永 瑛子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (10710436)
伊藤 祐子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60289973)
加藤 寿宏 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80214386)
笹田 哲 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80269513)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達障害 / 発達性協調運動症 / 協調運動検査 / 学校 / 教師 |
研究実績の概要 |
本研究では、教師が学校で実施できる子どもの協調運動検査を作成している。本年度は、昨年度までに作成した運動検査を一般児童に実施し、その検査スコアの年齢発達傾向を検証し、検査が協調運動発達をとらえるのに妥当か否かを検証した。昨年度までに開発した検査は感覚識別の検査3種、協調運動検査17種、運動企画検査5種であった。感覚識別検査には協調運動に関係する触覚、立体覚、運動覚の検査が含まれていた。協調運動課題には、バランス検査、抗重力運動検査、両手協調動作、巧緻動作、ボール操作スキル、舌運動、目と手の協調課題が含まれていた。運動企画課題には、身体模倣、両側運動模倣、正中線交叉などが含まれていた。 対象は、教師から発達障害の症状がないと判断された4歳から8歳の子どもであった。4歳児4名、5歳児9名、6歳児10名、7歳児3名、8歳児3名で、男児15名、女児14名であった。検査は、研究代表者と学生が学校や保育園に出向いて実施した。そして、子どもの月齢と各検査のスコアの相関を見るためにSpearmanの相関分析を行った。その結果、感覚検査では、触覚識別検査が1項目、協調運動検査では、バランス検査、抗重力運動、目と手の協調課題、巧緻動作検査課題、ボールスキル課題など10項目、運動企画課題では、連続的動きの模倣課題1項目が、月齢と有意な相関(p<0.05)を示した。 この結果から、感覚検査1項目、協調運動検査10項目、運動企画課題1項目が、子どもの協調運動の発達をとらえる際に有効な項目と考えられた。ただし、月齢とスコアの相関が見られなかった項目の中には、発達に伴うスコアの変化は顕著でないものの発達障害児のスクリーニングに有効な項目が含まれている可能性もあるため、今後、発達障害児と定型発達児のスコアの比較をする必要がある。また、9歳以上の子どものデータについても収集する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から、検査開発において若干の遅れが生じていた。当初作成した検査で予備実験を繰り返したが、作成した検査の難易度が、高すぎたり、検査の実施方法が子どもに伝わりにくいことがあった。そのため、検査を作り直すプロセスが加わり、想定していた以上の時間を費やした。最初に作成したバージョンで、保育園、学校でのデータを収集したが、前述の理由により、検査項目を作り直し、再度全項目のデータを取り直すこととした。そのため、予備的研究において当初の倍以上の時間がかかっている。 試作段階での検査項目が多く、一つ一つの検査実施に時間がかかるため、当初想定していたよりも、一人一人の検査時間が長くなり、統計解析に必要な症例数を集めるために時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究において、月齢とスコアの相関が見られなかった項目の中にも、発達に伴うスコアの変化は顕著でないものの発達障害児のスクリーニングに有効な項目が含まれている可能性もあるため、今後、発達障害児と定型発達児のスコアの比較をする予定である。 本年度の研究では、4歳から8歳までのデータしか収集しなかった。学齢児の中でも9歳以上の子どものデータを収集する必要があるため、今後9歳~12歳のデータを収集する。 概ね、検査項目が決定したため、北海道、関東、関西のデータを収集する。 データが、各年齢群ごとに統計解析を行うのに十分な数となるように収集を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
検査データ収集をもっと多くの学校の生徒を対象に実施する予定であった。そのため、旅費を支出することを予定していたが、研究者のスケジュールと検査対象校のスケジュールが合致しなかったことがあり、予定していた旅費の支出ができなかった。次年度のデータ収集の際の旅費に充てる予定である。
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