研究課題/領域番号 |
15K01419
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
菊池 真 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20404585)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 低酸素 / 無糖培地 / 末梢神経節細胞 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
低酸素や虚血は神経細胞に重大な障害を及ぼし、結果として神経細胞のアポトーシスや、軸索の変性を引き起こす。また、ミトコンドリアは細胞内小器官の1つであり、ATP合成の中心的役割を果たしたり、細胞内カルシウム濃度の調節に関与する。 軸索内のミトコンドリアは外的要因によって、その動態が大きく変化する。本研究は、末梢神経節初代培養細胞とウイルスベクターを用いて、軸索内のミトコンドリアを蛍光色素により標識し、低酸素チャンバーを用いて、軸索内ミトコンドリアの動態を観察し、低酸素状態が軸索内のミトコンドリアや軸索変性におよぼすメカニズムを解明することを目的とした。 本年度は低酸素インキュベーターを用いて、3%と1%の酸素濃度における初代培養末梢神経節細胞軸索内のミトコンドリアの動態を観察した。その結果、48時間の低酸素暴露の前後において、軸索内の輸送ミトコンドリアの割合、停留ミトコンドリアのサイズなど、大きな変化はみられず、抗Neurofilament Protein抗体を用いた免疫組織化学染色においても、軸索には腫脹などの変性は観察されなかった。 本年度は、機器導入の遅れから、実験回数が少なく、低酸素暴露前後の軸索内ミトコンドリアと、光学顕微鏡下での軸索の観察のみ行った。次年度以降は低酸素状態に加え、無糖培地を用いた疑似末梢循環障害モデルとして、末梢神経細胞軸索内のミトコンドリアの動態および軸索の状態を観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に使用する機材の導入が予定していた時期よりも大幅に遅れ、予定していた実験の一部を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
機器の導入は遅れたが、末梢神経節初代培養および、ミトコンドリアを蛍光で標識する方法は完成されている。 低酸素チャンバーを用いた実験では、低酸素環境だけでは細胞内のミトコンドリアに大きな影響を与えない可能性が示唆される実験結果を得たため、無糖培地を併用し、更にストレスを加えることで、細胞内のミトコンドリアの影響を観察する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機器の導入が遅れたため、当初計画していた培養実験数の回数が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
培養実験を中心に、消耗品費に充てる予定である。
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