低酸素は神経系などに大きなダメージを与える。我々は末梢神経細胞軸索内のミトコンドリアに着目し、低酸素環境におかれた軸索内ミトコンドリアの動態を、初代培養細胞を用いて観察した。酸素濃度が0.5%の環境に24時間暴露した結果、ミトコンドリアの移動数などに変化はみられなかった。そこで、疑似的に虚血を再現するため、低酸素発生装置と低グルコース培地を用い、低酸素・低グルコース(OGD)環境下で同様に観察した。その結果、24時間のOGD暴露は輸送ミトコンドリアの数を有意に減少させた。この結果、ミトコンドリア輸送は、単純な低酸素ではなくOGD刺激のような複合的刺激に抑制される可能性が示唆された。
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