研究課題/領域番号 |
15K01421
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
神先 秀人 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (10381352)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歩行分析 / 重心移動 / 骨盤 / 脚長差 / 膝固定 / 下肢筋活動 |
研究実績の概要 |
平成27年度の主な課題は、骨盤の上下移動に変化を与えた時の、①重心移動・エネルギー交換率に及ぼす効果、②下肢の運動学、運動力学的パラメーターへの影響、③下肢筋活動への影響を検討することである.健常成人12名を対象に,①片側の床面に1~5cmの段差を付け,人工的な脚長差を作った場合と②膝装具を用いて一側膝関節を伸展位(0度)に固定した場合の2つの歩行分析を行い,それぞれ裸足での対照条件と比較した. 骨盤の前額面上の動きは,脚長差が大きくなるに従い,長脚側への側方傾斜が減少し,短脚側への側方傾斜が増大する傾向がみられたが,変化量は脚長差5㎝で1度(短脚側)~2度(長脚側)とわずかであった.上部体幹は,前額面上での顕著な変化は見られなかった.骨盤と上部体幹のなす側屈角度は,骨盤の動きを反映し,脚長差に従い,長脚側への側方傾斜が減少,短脚側への側方傾斜が増大した.筋活動は脚長差の増加に従い,長脚側の腰部脊柱起立筋と膝伸展筋の活動の増加と短脚側の中殿筋,膝伸展筋,足底屈筋群の増加がみられた.重心移動に関しては,脚長差が大きくなるに従い,側方,上下方向の重心移動幅が増大するが,脚長差5㎝に対して2㎝程度の増加に抑えられていた.機械的効率性を示す,体重,距離当たりの仕事量は脚長差が大きくなると低下する傾向がみられたがエネルギー交換率に関しては明らかな変化はみられなかった. 膝固定時では,裸足または非固定時と比較して,骨盤の後傾が増加し,長脚側への側方傾斜が平均1度減少,短脚側への側方傾斜は逆に1度増加した.上部体幹の側方傾斜は約2度増大,骨盤に対する上部体幹の長側方向への回旋および前後屈角度が増加を示した.筋活動は,長脚側の脊柱起立筋,足背屈筋,短脚側の大殿筋,中殿筋の筋活動の増大がみられた.歩行中の重心移動幅は,裸足時に対して側方が約2㎝,上下方向で1cm程度の増大がみられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10名程度の測定を終えた段階で,4台中1台の床反力計に問題点(オフセットが作動しない)が判明したが,その後12名の計測を行い,各条件における運動学・運動力学的データおよび筋活動を予定通り測定,解析することができた.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画通りに実験を進める予定であるが,平成27年度に設定した課題における骨盤の運動範囲が比較的少なく,歩行の機械的効率性においても予想した程変化がみられなかったため,より骨盤運動に変化が生じる課題を付加することも検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
情報収集のための学会への参加を2回分予定していたが,業務多忙のため1回1名の参加に止まった.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表の場に参加する研究者の旅費に使用する予定である.
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