研究課題/領域番号 |
15K01428
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
田邊 素子 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30513618)
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研究分担者 |
庭野 賀津子 東北福祉大学, 教育学部, 教授 (30458202)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性腰痛 / 腰痛関連脳活動 / fNIRS / パーソナリティ評価 / 恐怖回避思考 / 抑うつ傾向 / 前頭前皮質 |
研究実績の概要 |
慢性腰痛における腰痛関連脳活動とパーソナリティ評価との関連を明らかにすることを目的に、腰痛喚起刺激時の脳活動について近赤外線分光法(fNIRS)を用いて計測し、心理学的指標による個人特性の傾向、ストレス評価を行い、心理社会的要因の腰痛への影響をを多面的に評価した。 研究初年度は、脳活動計測のための刺激作成およびパイロット実験を行った。パイロット実験では作成した刺激について、腰痛に有害な刺激、腰痛に無害な刺激の2条件における脳活動の差異を明らかにし、本実験に向け実験手続きを確立することができた。2年目の平成28年度は、女子大学生を対象にデータ取得を行った。解析により、抑うつ傾向と腰痛関連脳活動の関連が明らかとなり、抑うつ傾向が高いものは腰痛に有害な刺激に対し脳活動が抑制的であった。また、過去4週間の最大疼痛(PDQ-J)および恐怖回避思考スコア(FABQ-J)の2つの指標についても腰痛関連脳活動と関連がみられた。関連があった脳活動領域は前頭前皮質の前頭極および背外側前頭前皮質に相当する部位であり、PDQ-JおよびFABQ-J各々のスコアと負の相関を示した。腰痛症状の程度が高いものは、有害な刺激時の脳活動が抑制的であった。また恐怖回避思考が高いものについても同様に脳活動を抑制する傾向が明らかとなった。また、個人特性の評価(NEO-PI-R)では、誠実性(conscientiousness)傾向と腰痛関連脳活動に負の相関がみられ、個人特性と腰痛関連脳活動の関連が示唆された。最終年度である平成29年度は、これまでの成果について国際学会および国内学会での報告を行った。また追加男子データの取得を行った。研究成果物として論文投稿を行い受理されている。本研究成果により慢性腰痛の多面的評価と個別性に配慮した予防・治療介入への展開に有益であると考える。
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