研究課題/領域番号 |
15K01432
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
下田 信明 杏林大学, 保健学部, 教授 (00275786)
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研究分担者 |
望月 秀樹 杏林大学, 保健学部, 教授 (20612576)
武田 湖太郎 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 准教授 (50618733)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 手の心的回転課題 / 脳卒中片麻痺患者 / 統合失調症患者 / 課題遂行方略 / 運動イメージ |
研究実績の概要 |
脳卒中片麻痺患者を対象とし,手の心的回転課題における正答率と応答時間を提示角度ごとに比較し,どのような課題遂行方略を行っているのかを検討した.対象は右手利きの初発脳卒中片麻痺患者28名とした.提示写真として,手の第3指が垂直方向0度となる位置から時計回りに60度おきに6段階に回転させた写真(0度,60度,120度,180度,240度,300度)を用いた.総提示枚数は,左手・右手×手背・手掌×提示角度×4回の合計96枚とし,被験者は提示された手の写真が左手か右手かを判断し,判断した側にあるボタン(左手の場合は左ボタン)を非麻痺側手で押して解答した.応答時間と正誤を記録した.結果として,右手写真への応答時間は120度の時に左手写真よりも遅く,左手写真への応答時間は240度,300度の時に右手写真よりも遅かった.右手写真の120度や左手写真の240度,300度は,それぞれ右手・左手の指尖が身体の外側に向かう角度である.つまり,提示された写真に実際に自身の手を合わせようとしたときに動かしにくい角度において,応答時間が遅かったことになる.この結果は,脳卒中片麻痺患者は手の心的回転課題遂行時に運動イメージを用いていることを示唆している. また,統合失調症患者においても,手の心的回転課題における応答時間を提示角度ごとに比較し,どのような課題遂行方略を行っているのかを検討した.対象は,国際疾病分類第10版により統合失調症と診断された23名とした.課題は,脳卒中片麻痺患者の研究と同様とした.結果として,120度,240度,300度の3つの角度では,提示された写真に実際に自身の手を合わせようとしたときに動かしにくい写真において,応答時間が長かった.この結果も,脳卒中片麻痺患者と同様,統合失調症患者においても手の心的回転課題遂行時に運動イメージを用いていることを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳卒中片麻痺患者,統合失調症患者のデータ取得や分析,論文投稿に想定以上の時間が必要だったため.
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今後の研究の推進方策 |
・脳卒中片麻痺患者,統合失調症患者において,まだ未投稿のデータ解析結果があるの で,それを投稿する. ・健常加齢の影響に関するデータ取得が終了したので,それを解析し,投稿する. ・健常右手利き・左手利き者のデータ取得を開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会に参加できなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加,投稿論文校正などに使用する.
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