研究課題/領域番号 |
15K01435
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研究機関 | 健康科学大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦子 健康科学大学, 健康科学部, 教授 (80162923)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大腿骨 / 交感神経 / 骨粗鬆症 / ラット |
研究実績の概要 |
平成27年度は,大腿骨を支配する交感神経の活動を記録することができた.先行研究において,薬理学的手法により,骨支配の交感神経活動は骨量を低下させ,副交感神経活動は骨量を増加させることが報告されている.平成28年度は,骨支配交感神経活動を記録し,体性感覚刺激の効果を調べることを試みたが,機械的な非侵害及び侵害刺激により,明瞭な反応は得られなかった.この理由としては,大腿骨支配の交感神経が体性感覚刺激にたいして反応性が低い可能性もあるが,記録条件の問題も考えられる.この交感神経は,深部を走行しており,周囲の組織から分離できる距離が非常に短いため,安定した記録状態を維持するのが難しい.安定した記録をできるようにするために多くの時間を費やしたが,難航した.このため,一度方針を転換し,骨粗鬆症モデルラットを用いて,大腿骨支配の自律神経の役割を,外科的手法で検討することにした. まず,骨粗鬆症モデルラットを作製するため,麻酔下で4~5週齢の雌性ラットから両側の卵巣を摘出後,麻酔から覚醒させ,低カルシウム食で4~8週間飼育した.その結果,普通食を与えた対象群と比べ,低カルシウム食群では,大腿骨重量(乾燥重量)が約30%低下することを確認した.次にこの骨粗鬆症モデルラットにおいて,外科的な交感神経切除の影響を調べるため,骨粗鬆症モデルラットを作製する際に,卵巣摘出と同時に一側の大内臓神経(交感神経)を切除し,切除側と健側の大腿骨重量(乾燥重量)を比較した.まだ例数が少ない段階であるが,切除側と健側で明瞭な差は認められていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は,麻酔下のラットで大腿骨支配交感神経活動を記録し,体性感覚刺激の効果を調べることを試みた.しかし,大腿骨支配の交感神経は体内の非常に深いところを走行しており,また周囲の組織から分離できる距離も非常に短いため,安定した記録状態を維持するのが難しく,これに多くの時間を費やし難航した.
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今後の研究の推進方策 |
麻酔下でも大腿骨支配交感神経を安定して記録することが難しかったので,方針を転換する.今後は,骨粗鬆症モデルラットを用い,覚醒状態で可能な物理的刺激として,皮膚のブラッシング,筋への弱い電気刺激(臨床で治療に用いている低周波刺激等),トレッドミル走行などを長期的・継続的に行い,外科的あるいは薬理的に大腿骨局所の自律神経を切除した群と非切除群で,大腿骨への刺激効果を比較する.これらの研究により,物理的刺激が骨量を増やして骨粗鬆症を改善・予防することができるかと,それにおける自律神経の役割を明らかにする.
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