研究課題
これまでの分析結果から,認知症高齢者の脳機能障害に自律神経障害が重複するとBPSDの要因となるという仮説に至ったした.しかし,脳機能障害が自律神経活動に関与することは示されていない.本研究の目的は,①認知機能が自律神経に関与するか否かを実証検証する事,②認知機能,BPSD,自律神経バランスの三者間に内在する双方向の因果関係を明らかにすることである.対象は,認知症高齢者42名のうち,欠損値のない23名である.評価内容は,認知機能をHDS-R,BPSDをNPI,自律神経バランスの測定には,TAS9VIEW(YKC社製)を用いた.分析は,①では,まず,対象者を交感神経優位群,副交感神経優位群に分類し,2群間のHDS-Rの9項目の下位項目を比較した.また,NPIの高値群と低値群の2群に分類し,自律神経の各パラメータを比較した.また,②では,認知機能がBPSDに影響して自律神経バランスに作用するという因果構造と,認知機能が自律神経バランスに影響してBPSDに作用するという因果構造を一つの体系内に集約した因果仮説モデルを構築し,その仮説モデルに共分散構造分析(Structural Equation Modeling;SEM)を行った.分析の結果,①からは,認知機能の見当識と言語流暢性の低下は,副交感神経の優位性(自律神経バランス)に関与し,加えて,副交感神経活動の優位性は,BPSDに関与すると考えられ,②からは「認知機能」が「BPSD」に影響して「自律神経バランス」に作用する影響が強い一方で,直接効果では,「自律神経バランス」は「BPSD」にも少なからず影響する要因であると解釈された.
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World Journal of Neuroscience
巻: Vol.7 No.4 ページ: 383-390
10.4236/ijohns.2014.34037
作業療法
巻: 印刷中 ページ: 印刷中