本研究では,1)高齢2型糖尿病患者において,3年後の膝伸展筋力低下の程度と糖尿病多発神経障害の合併による影響を明らかにする.2)高齢2型糖尿病患者に適した運動療法プログラムを考案し,その安全性を明らかにする.3)高齢2型糖尿病患者を対象に介入研究を実施し,ロコモ予防および糖尿病コントロールに与える効果を明らかにする. 平成30年度において,1)については,若手研究B・課題名「2型糖尿病患者における膝伸展筋力の参考基準値の確立(H23~H25)」のデータを基礎データとして,公立陶生病院(愛知県),公立豊岡病院日高医療センター(兵庫県),製鉄八幡病院(福岡県),市立伊丹病院(兵庫県),市立吹田市民病院(大阪府),公立甲賀病院(滋賀県),金沢赤十字病院(石川県),KKR高松病院(香川県)および広島大学病院(広島県)の計9施設においてデータ収集を行った.中間解析結果により,糖尿病多発神経障害の合併が加齢によ下肢筋力低下を助長させる要因であることが明らかとなり,これらの成果は2019年5月にスイスで開催される世界理学療法学会に一般演題として採択された.2)については,研究分担者の河江敏広氏が所属する広島大学病院において,有酸素運動およびレジスタンス運動の強度・種類・持続時間の差異が眼圧に与える影響を測定し,眼圧の上昇予防という面から適切な運動療法プログラムの検討を健常群および糖尿病群で行った.一連の成果をまとめて論文発表の準備を進めている.3)については,君津中央病院(千葉県),千葉中央メディカルセンター(千葉県),さぬき市民病院(香川県),KKR高松病院(香川県),周東総合病院(山口県)および坂出市立病院(香川県)の計6施設において介入研究を実施中である.現在,60例の症例を登録しており,プロトコール論文の発表準備を進めている.
|