研究課題/領域番号 |
15K01441
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研究機関 | 大阪行岡医療大学 |
研究代表者 |
森藤 武 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30708764)
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研究分担者 |
田中 稔 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 助手 (00735508)
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
田坂 厚志 大阪行岡医療大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90710260)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 低酸素刺激 / 電気刺激 / 毛細血管 / 筋肥大 / 加圧 |
研究実績の概要 |
本研究は、2型糖尿病に起因する骨格筋の微小血管障害を予防・改善するため、電気刺激と低酸素刺激の併用療法を開発することを目的としている。その効果と作用機序を検証するため、2型糖尿病モデルラットに対して長期間の電気・低酸素刺激の併用療法を実施した後、下肢骨格筋の毛細血管網を可視化し、さらに、血管新生因子・抑制因子の調節系因子の解析を行う計画である。平成27年度は、正常モデルであるWistarラットを使用し、下肢骨格筋の毛細血管径や容積の増加に効果的な電気・低酸素刺激の併用療法のプロトコルを決定するために以下の実験をおこなった。①ヒトの指用カフと加圧計を組み合わせ、ラット下肢への低酸素刺激(血流制限)を誘導する加圧システムを作成した。②下肢骨格筋への低酸素刺激を誘導する効果的な加圧量を検討するため、いくつかの条件下で大腿部を加圧し血流制限を設け、レーザー血流計を使用して下肢の血流量を測定した。その結果、過度に下肢動脈の血流量が制限されず、二次的な障害を惹起しにくい加圧量を決定した。③電気刺激・低酸素刺激の併用療法の介入を、週に3回の頻度で8週間実施した。なお、電気刺激は、中周波電気刺激を用い、刺激強度を30%MVCとした。介入後、共焦点レーザー顕微鏡を使用し、ヒラメ筋の三次元毛細血管網を観察した。その結果、介入を実施したラットでは、介入を実施していないラットと比較して、毛細血管径、容積の増加を認めた。さらに、介入を実施したラットでは、介入を実施していないラットと比較し、ヒラメ筋の筋湿重量・体重比の増加、足関節底屈筋力の増加を認め、筋肥大を誘導するには十分でない電気刺激強度にもかかわらず、筋肥大や筋力増加にも効果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 平成27年度は、正常モデルであるWistarラットを使用し、下肢骨格筋の毛細血管径や容積の増加に効果的な電気・低酸素刺激の併用療法のプロトコルを決定するために実験をおこなった。電気刺激・低酸素刺激の併用療法の長期介入を実施した結果、下肢骨格筋の毛細血管径、容積が増加した。そのため、電気・低酸素刺激の併用療法は下肢骨格筋の毛細血管ネットワークに効果的であることが示された。以上のことから、平成27年度に予定した実験計画は遂行され、おおむね順調な結果が示されたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、正常モデルラットに施行したプロトコールを参考に、糖尿病モデルGKラットを使用して電気・低酸素刺激の併用療法を実施する。さらに、その介入効果を検証すため、共焦点レーザー顕微鏡を使用して下肢骨格筋の毛細血管網を可視化し解析をおこなう。さらに、その作用機序を検証するため、血管新生因子・抑制因子の調節系因子の解析を行う計画である。
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