研究課題/領域番号 |
15K01448
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
黒沢 忠輝 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40259792)
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研究分担者 |
神成 一哉 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20241466)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 全身振動装置 / 筋固縮 / 上腕遥動装置 / パラメータ推定 |
研究実績の概要 |
本研究では患者が楽なように仰臥位で横たわり,前庭系へ刺激を与えるよう頭頂から足先方向に水平に往復する全身振動装置を改良した.本装置は最大周波数が1 [Hz],最大振幅は120[mm]まで,体重100[kg]程度まで動作することができる.振動暴露後の評価として,バランス性を評価するための加速度センサーおよび無線計測システムを準備した.またストレス性計測のための唾液アミラーゼ計測装置と簡易脳波測定装置を準備した.また筋固縮症状を実現する疑似上肢を製作した.間欠的断続的抵抗を感じる歯車様固縮と、あたかも鉛管を捻転させるようにギシギシと一定的持続的抵抗を感じる鉛管様固縮を表現するような擬似上肢を複数製作した. 筋固縮症状を定量的に評価するための上腕遥動装置を開発した.被験者は座位でリラックスでき,かつ可動台にシンプルかつ安全に前腕を固定し,肘関節を中心に正弦波的な前腕の搖動動作を行う.回転中心には搖動時の肘角度を測定する角度センサーを取り付けた。搖動動作は臨床医の診断動作に合わせた動作を模する.本システムは肘を台に乗せ,前腕を約90度まで屈曲させる動作を繰り返し行い,入力トルクと出力角度を計測するシステムである. 前腕および肘関節を,慣性モーメント・粘性抵抗・非線形ばね抵抗を持った剛体リンク機構とし数学モデル化を行い,入力トルクと出力角度波形から,線形分数変換および既約分解表現によって各物理パラメータの推定計算を行うシステムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
改良した全身振動装置は,床面からベッド面まで約35[cm]と低く,高齢者やパーキンソン病患者でも楽に乗り降りできるように設計した.ただし安全柵や起き上がるための手すりがなく,まだまだ患者に優しいとは言えない部分があるため,次年度の改良課題である.また本装置は最大周波数が1 [Hz],最大振幅は120[mm]まで動作できるが,0.8[Hz]以上で振動させると,人によっては不安や恐怖感を感じる可能性があるため,最大振幅では行わないようにする. 上腕遥動装置は肘関節を中心に屈曲動作を行うが,人間関節の可動範囲外に動作させてはならない.そのためリミットスイッチや非常ボタンによる緊急停止措置や,常時計測している角度を用いプログラムによる動作範囲制限など安全面に最大限に配慮を行った.
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今後の研究の推進方策 |
改良した全身振動装置を用いて健常者およびパーキンソン病患者に全身振動負荷を与える臨床試験を行い,運動機能およびパーキンソン病症状の変化をHoen-Yahr の重症度判定や,統一パーキンソン病評価スケール(UPDRS),timed up and go test (TUGT)などで調べ、効果の高い振動周波数や振幅,暴露時間を調査する.また開発した前腕遥動装置を用いて筋固縮症状の評価を行うとともに,臨床医による診療結果とを照合し、重症度の判定基準を整備する。 いずれの装置においても使用中に安全面に十分に配慮し,必要があれば随時改良を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
300,000円は研究分担者への配分額であるが、平成27年度に臨床試験を行うにあたり被験者となるパーキンソン病患者群が、想定していたよりも症状が重く、度重なる臨床試験に耐えられないと判断したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は「青森県パーキンソン病友の会」に働きかけて、続けて通うことのできる患者群を構成し、臨床試験に臨む。
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